普天間飛行場と“うるささ指数”

低周波音を無視して航空騒音被害は語れない

 2005/9/28

   はじめに

 私は本州の中央南寄りにある和歌山市に長年住んでいる。遠く離れた沖縄のことはマスコミの報道を見るくらいで、関心はあるものの現場の知識には乏しい。そのよそ者の私が以前から不思議に思っていることがある。それは、米軍航空基地の移転の焦点が「なぜ普天間飛行場であって、嘉手納飛行場ではないのか」という疑問である。嘉手納飛行場の方が普天間飛行場より、はっきり騒音がきついと聞かされているのに。

  1999年6月−「沖縄の米軍航空機による低周波音調査」(沖縄環境ネットワーク・後藤哲志)によれば、

嘉手納飛行場 普天間飛行場
滑走路  3869m x 91m  2800m x 46m
 3689m x 61m
常駐機  104〜111機(内 ヘリコプター約9機)  71機(内 ヘリコプター56機)
騒音
(WECPNL)
 65.0〜88.1  63.0〜83.0

 因みに、WECPNL(Weighted equivalent continous perceived noise level) 88.1は、83.0の3倍以上の騒音である。嘉手納飛行場の方が普天間飛行場より遥かに広大で、常駐機も多く、騒音の優位は明らかであるが、ヘリコプターの機数だけは普天満飛行場が断然多いことに留意したい。
 元々普天満飛行場はヘリコプター基地と聞かされていた通りである。ところが、現実は普天満飛行場の方が周辺住民の苦情の訴えが厳しく,橋本内閣当時の1996年4月、日米両政府は「5〜7年以内に、代替施設が完成した後,返還する」ことで合意した。その移転候補地として辺野古沖が登場したが、座り込み闘争が続いている。
 普天間飛行場の周辺市街地が基地を中心にドーナツ型に広がり「世界一危険な基地」を形成しているという。しかし、嘉手納飛行場だって近接して住宅が詰まっているようだ。どうして普天満飛行場を優先返還? ひょっとして普天間飛行場周辺住民は「うるさ型」が多いのではないかと、よそ者はつい考えてしまうが、そんなことはないと信じる。

 なぜ嘉手納飛行場より普天間飛行場なのか。この疑問の核心は“騒音”の評価にある。世界の音響関係者・航空関係者が航空機騒音について今日まで、詐欺的なごまかしを続けながら、国や企業や軍部のために、誤りを放置し続けているためである。
 この問題点を知らされることなく、普天間飛行場の移転とは、嘉手納飛行場より遥かに小さい軍用飛行場が来るだけだと思っているなら、それは大きな大間違いである。相対的にみて、嘉手納飛行場より断然被害のきつい施設が移設を待っているのである。当然移設先も被害は普天間飛行場並みにきつくなる恐れが多い。ところが、禁句になっているかのように、そのことを指摘した報道を目にしたことがないのはなぜであろうか。


   WECPNLは“うるささ指数”か
 
 航空機の騒音量を評価する国際基準であるWECPNL(加重等価平均感覚騒音レベル)は、呼称が難しいのでマスコミでは“うるささ指数”と呼んだりしているようである。民間空港と軍用空港とでは飛行態様が異なるため、防衛施設庁は環境省が定める算定方法とやや異なる方法でこのWECPNLを算定しているが、それは枝葉のこと。基本の騒音測定は、A特性−dB(A)−だけで測定することに変わりはない。
 A特性は、1000ヘルツを基準(0)として、人間の耳の性能に合わせて補正した数値の合計値である。その補正は100ヘルツ以下では急速に小さい値にされ(低周波音)、20ヘルツで−50dBとなる。それ以下の20ヘルツ未満は聞こえないとされ、足しても無駄だと、A特性には加算してもらえない(超低周波音)。
 多分昔のプロペラ1枚か2枚の小型機ならそれでも良かっただろうが、だんだん機体が巨大になると共に、音の周波数も低くなって騒音より低周波音の方が大きい数値になってきている。耳にとっての聞こえやすさであるA特性のままはおかしい。騒音をどう評価していくかは難しいところだが、「昔の名前で出ています」では、あまりに怠慢である。

 1979年、関西国際空港建設のための実地飛行テストが行われた。その当時私が地上で測定した数値がある。(低周波音は2〜100ヘルツの無補正の合計値=A.P.)

機種 騒音 低周波音
5月22日(火) L1011 離陸 67dB 78dB
着陸 70dB 79dB
5月23日(水) B747 着陸※ 70dB 87dB
離陸 64dB 77dB
着陸 71dB 78dB
5月24日(木) L1011 着陸 70dB 80dB
離陸 64dB 81dB
着陸 70dB 78dB
離陸 67dB 78dB
5月25日(金) B747 着陸 70dB 80dB
離陸 72dB 87dB
着陸 70dB 78dB
離陸 70dB 82dB

  平均してみると、低周波音の方が11dB余り大きい数値である。つまり、現在の大型機では、低周波音成分が大きな比重を持っているということを教えている。

  低周波音は普通騒音より隔壁の貫通力が強いから、それだけ防音壁が効かなくなってきているということである。ナントかの一つ覚えみたいに、騒音がきつければ防音室だと、国も防衛庁も未だに言っている。国民を馬鹿にしているとしか言いようがない。

  1979年5月23日(水)、B747 ※着陸について、2〜100ヘルツの1/3オクタープバンド周波数分析を行った。(周波数の数字はヘルツ、音圧の数字はdB)

周波数 A.P. 2 2.5 3.15 4 5 6.3 8 10 12.5 16 20 25 31.5 40 50 63 80 100
音圧 87 53 57 60 59 62 62 68 72 78 79 78 80 83 82 80 79 73 69

 著明な卓越周波数(ピーク)は見当らないが、一番大きい値は31.5ヘルツ、83dBで、その前後はなだらかである。騒音が70dB(A)であるから、100ヘルツ超は測定していないが、そこにもっと大きい数値が出てくる可能性はなさそうである。
 この測定から見ると、現在の一般の大型旅客機の騒音の周波数の構成は、耳の性能を尊重するdB(A)の想定する周波数の構成とは相当違ってきていることが明らかである。航空機の騒音は“うるさい”と表現されても納得できるが、dB(A)は“やかましい”であって、“うるさい”とは少し違う。
 もしマスコミが、一般読者のために「加重等価平均感覚騒音レベル」という難解な言葉 を分かり易いように“うるささ指数”と称したとすれば、大きな錯覚を国民に与えたことになる。A特性の測定なら、なぜ正直に“やかましさ指数”としなかったのか。
 うるさいことを言うようだが、”やかましさ指数”を“うるささ指数”としてそのままWECPNLを受け入れている現状は、なぜ嘉手納飛行場より普天間飛行場がうるさいかという不思議に繋がるだけではなく、数々の不思議と錯覚を国民にもたらしている。


   航空機騒音による健康影響調査

 1995年から1998年にかけての4年間に、沖縄県「航空機騒音による健康影響調査」(委員長-山本剛夫京都大学名誉教授)が行われた。
 この調査は、WECPNL(A特性)の概念のみで行われたから、調査には当然数々の矛盾点が出ている。こういう場合、企業は勿論、国やその他の行政では、その矛盾点を隠したりごまかしたりして報告書を作っているのがこの国の習いである。ところがこの沖縄県の調査報告書は、矛盾を包み隠さずそのまま記載している。恐らく山本委員長の正直な性格がそのまま生きているのであろう。もし理屈が合うように変にいじくり回されたら、せっかくの膨大な4年間の調査が無駄になってしまったかもしれない。
 
 その中でも特に目立った矛盾を指摘してみる。


  [防音工事の効果]

 1999年 沖縄県−24戸・算術平均-
     ※適切な防音工事を施した場合には、騒音レベルは30dB程度低減させるほどの物理的効果をもたらしうる。
     ※家屋防音工事は、生活実態上航空機騒音の被害を軽減することにはなっていない。
 30dB(A)低減とは物凄い効果である。エネルギーでは千分の一になっているのである。しかし、被害は楽になっていない。航空機騒音の七不思議である。
 山本委員長は、「防音工事は物理的にはともかく、生活実態としては居住者に対する航空機騒音の影響を緩解させていないと考えられる。」と正直に記述されている。
 実は、大阪空港騒音が大きな社会問題になった1979年当時、騒音被害のひどい家には、対策として国費で防音室が作られた。その家族に「防音室はどうですか?」と尋ねたら、「防音室はお客様用に使っており、日常生活は別な室で暮らしています」という意外な返事であった。ともかくあまり使う気にならないしろものらしい。
 同じ頃、阪神間の国道43号線の自動車騒音も大きな問題となっており、その公害対策として、これも国費で防音室が作られていた。「防音室で仕事をしていると何かだんだん苦しくなって、外へ(つまり多数の車が氾濫する国道へ)出ていくと楽になるのです」。
 税金で防音室を作って、これでは何をしていることかわからない。そのまま四半世紀も経過して、今でも国の言う航空機騒音対策の有力方策は防音工事なのである。その効果を騒音(A特性)で証明しても意味はない。本当に生活を改善したかどうかで問わなければならない。その答えは「ノー」である。いつ迄こんな税金の無駄遣いをやっているのか。


  [児童・生徒への影響]

   1997年度 沖縄県 「児童・生徒の生活と健康に関する調査」
  〔暴露群〕 嘉手納飛行場=K 普天間飛行場=F  〔非暴露群〕 南部地域=N
      ※家での航空機騒音の程度    K > F > N
      ※寝不足感               F > K ≒ N
      ※一般的疲労感            F > K ≒ N
      ※身体不調               F > K ≒ N
      ※授業中の騒音への反応      K ≒ F > N

 寝不足感・一般的疲労感・身体不調については、一番航空機騒音のきつい嘉手納飛行場よりも、それより航空機騒音が弱い普天間飛行場の方がひどいという成績である。児童・生徒まで普天間飛行場周辺は「うるさ型」はないだろう。
 それどころか、航空機騒音のない南部地区と航空機騒音のきつい嘉手納飛行場と、寝不足感・一般的疲労感・身体不調が大差ないという、不思議な児童・生徒の答えである。子供は正直。大人のように“うるささ指数”にだまされている恐れはない。
 この調査内容は、なぜ嘉手納飛行場より普天間飛行場がという疑問と合致している。

 WECPNLなどと言われれば、人々はまるで科学の精髄のように錯覚して疑おうともしない。しかし、なぜ、移転の必要なのは普天間飛行場であって嘉手納飛行場ではないのか。なぜ、防音対策は役に立たないのか。何故、児童・生徒の健康被害が普天間飛行場だけきつく、嘉手納飛行場と航空機騒音のない南部地区とは大差がないのか。
 これらの疑問にWECPNLは全く答えていない。WECPNLの数値は現場の科学的状況に合致しない。航空機騒音被害の実態を示す数値としては失格である。


     一般の低周波音被害の特異性

 ここで一般の低周波音被害の特異性を説明したい。
 一般とは「固定性音源の連続音」ということである。昔は工場が原因となっていることが多かったが、最近は営業用・家庭用の冷暖房機や給湯機等の室外機が、被害者の住居に面する側に取り付けられているために起こるケースが多発している。
 それに対し、航空機騒音は「移動性音源の非連続音」であるから、一応表面的には相違すると考えられる。しかし、上述の矛盾は、以下に述べる低周波音の被害の特異性と共通するものがあることが理解されるであろう。
 「移動性音源の非連続音」といっても、同じ音が長期間、頻繁・執拗に反復され、またその低周波音域のピーク値が「固定性音源」の場合より十分大きければ、長期間経過後には、「固定性音源の連続音」と同様の健康被害を来してもよいのではないか。
 沖縄県民の具体的な被害様相の経緯を知る立場ではないが、そのように考えて初めて普天間飛行場の特異性が理解できるであろう。


    一般の低周波音被害の普通騒音との相違を列挙してみる。

(1) 騒音被害は基本的には「やかましい」という耳からの音の被害であるが、低周波音被害の主体は、自律神経失調症に類似した身体被害(不定愁訴)である。自律神経失調症との相違は、音源が停止すれば症状が消失することにある。(外因性)
(2) 数週間、数ヶ月、しばしば数年の後に発症する。(遅発性)
(3) 低周波音被害は個人差がひどく、同じ家族で、非常に苦しむ人と全く平気な人とが長年同居している例が多くみられる。
(4) 騒音被害は慣れるが、低周波音被害は次第に鋭敏化する。(低周波音過敏症)
(5) 騒音被害は遮音されやすいが、低周波音被害は遮音壁が無効であるだけでなく、多くの場合遮音壁によって被害は却って増悪する。
(6) 低周波音の苦痛は音によって緩和される(マスキング)。 実際に、テレビ・ラジオ・CDなどの音で苦痛を紛らわせている被害者が多い。
(7) 経験的にみて、低周波音被害は10ヘルツ〜40ヘルツくらいの周波数で発生し、音圧は60dB前後、まあ55dB以上くらいである。

 以上のように、騒音被害と低周波音被害とは単に相違するだけでなく、まるで正反対のような状況である。このことを、同じ聴覚のメカニズムで説明することはできない。
 普通の聴覚は、わざわざ頭蓋骨にトンネルを貫いて作られたコースを通り、外耳→中耳 →内耳と伝わる(気導音)。頭蓋骨が強固な遮音壁の役割を果たしているためである。
 低周波音は隔壁を貫通する力が強い。空気振動でも低周波音域であれば、条件によっては頭蓋骨を貫通して内耳(あるいは脳)に直接到達する可能性が考えられる(骨導音)。

 このように理解することによって初めて、騒音被害と低周波音被害との正反対ともいうべき相違を理解することができるであろう。
 一般に聞こえないとされる超低周波音でも、十分音圧が大きければ聞こえる(あるいは感じる)といわれてきた。どの周波数の何dBなら聞こえる(あるいは感じる)かという実験的研究は、以前から行われてきた。それが「感覚閥値」である。

 しかし、この「感覚聞値」は、特に低い周波数領域において、私の経験する上述の低周波音被害の数値を遥かに上回る。つまり、「感覚閾値」の観念では聞こえず感じないはずの空白領域において、低周波音被害は多数発生している
 それを「感覚閾値」を盲信する人たちは、その空白領域は聞こえず感じないのだから、被害は有り得ないと主張する。被害を訴える低周波音被害者は、「気にし過ぎる」「神経質だ」「嫌がらせだ」と切り捨て、それに反発する被害者は「精神病扱い」である。

 この「感覚閾値」は気導音の実験値であって、骨導音とは無関係であるが、それについては全く知らん顔で低周波音被害を切り捨てているのは、低周波音被害が顕在化すれば、多くの機械メーカー、電気製品メーカーが困惑するであろうことと無縁とは思えない。

 さらに2004年6月、環境省は「低周波昔問題対応の手引書」を発表し、その中で、この「感覚閾値」から誘導された“参照値”を発表して、低周波音被害切り捨てに大きく踏み出した。同じ頃、メーカーは「骨導音携帯電話」などを発売している。骨導音を知っているなら、この骨導音の発想で「感覚閾値」を再実験することが先ではないか。
 関連学者・研究者も国も、企業のためは考えても、市民のことは考えようとしない。


     沖縄県の低周波音測定

 もう明らかなように、普天間基地の特性は「より低周波音のきついヘリポート基地」であるということに尽きる。それを一般の航空機基地と混同し、「味噌も糞も一緒くた」にしたものがWECPNLである。世界的基準とは笑わせる。

 1996年11月、私は那覇市で行われた「第16回日本環境会議沖縄大会」に招かれて、「低周波音公害と基地」について報告し、航空機騒音に低周波音の概念を取り入れなければ正しい評価ができないことを提唱した。
 それを受けて、大会を主催された宇井純沖縄大学教授の指導で、後藤哲志氏(沖縄環境ネットワーク)が普天間基地のヘリコプターを中心に調査・測定を行った結果について、1999年6月、「沖縄の米軍航空機による低周波音公害調査一航空機音圧公害による身体被害の総合的評価に向けて−」を出版された。
 低周波音を主とするヘリコプターの飛行音は戦闘機の飛行音よりも遠くまで届くこと。従って音の被害範囲が広くなる。またヘリコプターの飛行速度の遅いことから、被害を受ける時間も長くなる。両者をWECPNLで一括して同列に論ずることは到底無理であることが明らかにされた。さらに低周波音の視点からの分析・研究の結果、航空機騒音公害ではなく、低周波音を加味した「航空機音圧公害」の呼称を提案されている。

 これを受けたのであろうか。沖縄県が2001年度・2002年度・2003年度に掛けて、普天間飛行場・嘉手納飛行場の低周波音測定を実施したのは、沖縄県らしい素直さであろう。日本の他府県なら、低周波音測定を要求しても、なかなかこうはならない。「測定機械がない、経験がない、どこもやっていない」、等々、言を左右にして応じないのではないか。こんなしんどいことをやってみても、行政には一文の得にもならない。そこには住民を思う心はない.私はこの3年間の沖縄県の努力に敬意を表したい。

  [第1図  戦闘機対ヘリコプター]
 ここで、G特性−dB(G)−について説明しなければならない。
 G特性は1〜20ヘルツの超低周波音の人体感覚を評価するための周波数特性である。10ヘルツを基準(0)として、補正の最高を20ヘルツ、+9dBとし、その他補正した1ヘルツ〜80ヘルツの合計値がG特性である。IS0−7196(1995)で規定された世界的な権威を持つものと尊重されたが、「帯に短し、たすきに長し」で、WECPNLと同様、ぴったり役に立つものではない。
 しかし、これを使って沖縄県がデータを出しているので、採り上げてみた。

騒音/dB(A) 戦闘機 90〜95dBが最多
ヘリ 75〜80dBが最多
低周波音/dB(G) 戦闘機 85〜90dBが最多
ヘリ 90〜95dBが最多

 騒音と低周波音という視点でみれば、戦闘機とヘリコプターとでは数値が逆転する。

  [第2図  普天間飛行場・周波数分析図]
 ヘリコプターの低周波音は、機種により、10ヘルツ、16ヘルツ、20ヘルツとピークはそれぞれ異なるが、一般の固定音源の場合に低周波音の被害が出現する周波数領域−10〜40ヘルツにピークは一致している。移動性音源であり短時間であるから同一には論じられないが、その代わり音圧は60dB前後ではなく、80dB超ときつい。頻回このような低周波音に暴露されることは、それなりの影響があろうことは当然である。

  [第3図  嘉手納飛行場・周波数分析図]
  救難用へリ(HH−60)では、16ヘルツに85dB超の著明などークを示す。やはり固定音源の場合に被害をもたらす代表的な周波数である。A特性の場合、この16ヘルツは0評価であることを指摘したい。これに対し、戦闘機では低周波音の領域には特にピークは見られず、右肩上がりの周波数分析図を示し、普通騒音が強いことを示している。大型ジェット機とも違うようだ。


  以上の沖縄県の低周波音測定により、戦闘機とヘリコプターとの周波数の相違が明白になった。戦闘機は普通騒音、ヘリコプターは低周波音と大別できる。これをWECPNLでひとまとめにすることの異様さはさらに明らかであろう。


     おわりに

 普天間飛行場周辺の住民は、なぜ嘉手納飛行場周辺より苦しいのか。それは騒音をWECPNLでひとまとめにせず、周波数分析、そして低周波音の概念を導入することによって初めて理解される。つまりへリポートであることの重要性である。
 普天間飛行場を移転するということは、嘉手納飛行場よりずっと小さな基地を持って来るだけと誤解してはならない。普天間飛行場というヘリポートの厄介な被害を移転するということを銘記しなければならない
 最近、辺野古沖移転計画を変更して、辺野古沖縮小案や、さらにシュワブ陸上案が検討されている。それだけ自然破壊は少なくなるが、それだけ住民被害は厳しくなる。ジュゴンを苦しめるか、人間を苦しめるか、そこが思案のしどころだが、“うるささ指数”で思案することだけは止めようではないか。


管理人からの断り 

文中のリンクは管理人の責任。

理解を深めるための
参考リンク
航空機騒音による健康影響に関する調査報告書の概要(平成11年3月 沖縄県文化環境部)
普天間飛行場代替施設に関する協議会(首相官邸)
宜野湾市ホームページ:普天間飛行場の概要
米軍基地
普天間基地移設問題
沖縄米軍
WWFジャパン - 普天間基地移設問題
沖縄一坪反戦地主会関東ブロック

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追跡

シュワブ沿岸部案、騒音は環境基準以下…防衛庁予測

 沖縄県の米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)の移設先として日米両政府が合意したキャンプ・シュワブ(名護市など)沿岸部への移設案について、防衛庁は騒音予測調査を行い、最も近い住宅地域の騒音も国の環境基準を下回る予測となることがわかった。

 新たな沿岸案は、住宅地域までの距離が1キロ・メートル程度に近づいており、住民からは騒音問題を理由に反対する声が出ている。

 防衛庁の計画では、ヘリコプターの通常の飛行ルートは住宅地上空を通らないという。飛行ルートや、過去に周辺地域で実施した騒音調査をもとに、新たな沿岸案の騒音を予測したところ、滑走路に最も近い辺野古集落でも、環境省が住宅地の騒音の環境基準として定める「うるささ指数70」を下回っているという。政府関係者によると、うるささ指数「70」は、「地下鉄の車内」と同程度の騒音が日中に100回発生する程度のうるささだという。

 飛行ルートや騒音予測について、国は名護市などにまだ説明していない。米側の了解が取れ次第、説明する方針だ。

2005年11月11日3時3分  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20051111i301.htm