香り付き柔軟剤流行に悲鳴

化学物質過敏症の人たち


 13/9/2、中日新聞に「香り付き柔軟行に悲鳴 「過敏症」の人たち」と言う記事が載った。短く言えば、「柔軟剤や洗剤、シャンプーなどの家庭用品の強い香りの化学物質によって、めまい、頭痛、吐き気、のどの痛みなどのさまざまな症状が出るのが化学物質過敏症。患者数は全国で七十万人とも百万人ともいわれる。」と言うことである。


そもそもと言うほどもないが、五感とは「動物ヒト外界感知するための多種類の感覚機能のうち、古来からの分類による5種類、すなわち視覚聴覚触覚味覚嗅覚」を言い、人間の五感の割合は「視覚87% 聴覚7% 臭覚3% 触覚2 味覚1%」と言うことらしい。このデータについては出典不明瞭らしいが、どうも感覚に関するデータは明確でないモノが多いようだが、それもそのはず、そもそも人間の感覚そのものが簡単に絶対的に数値化するのが難しいからしかたあるまい。以下のようなデータもあるという。

@五感の中で最も言葉で伝えやすいのは 視覚(75.7%)、味覚(9.9%)、触覚(6.7%)、聴覚(6.0%)、臭覚(1.9%)
A五感の中で最も言葉で伝えにくいものは 臭覚(35.8%)、触覚(23.2%)、味覚(18.3%)、聴覚(17.0%)、視覚(5.8%)
B五感の中で最も長く記憶に残るものは 視覚(71.9%)、聴覚(13.8%)、味覚(7.5%)、触覚(3.8%)、臭覚(3.1%)
C五感の中で最も思いでをよみがえらせるものは 視覚(74.3%)、聴覚(11.8%)、触覚(4.8%)、味覚(4.6%)、臭覚(4.6%)
D五感の中で最も感動を覚えるのは 視覚(72.6%)、聴覚(17.6%)、触覚(6.4%)、味覚(3.0%)、臭覚(0.5%)

 これは元々70年代に「視聴覚教育技術」の重要性について言われ始め、それが宣伝効果から販売促進に繋げて述べられた辺りからで、そもそもは米国発のモノの様だがそれにしてももっともらしい数字である。最近でも「人は見た目が9割」などと言う本が売れているのだから納得しやすい話しなのだろうが、その他の感覚について格別注目しているわけではなさそうで、単に昔から言われる「百聞は一見にしかず」の発展版であろうが、それにしても現物を眼前に「見る」ことの説得力は大きい。

 まー、例えればラジオの宣伝よりTVの宣伝の方が視覚が加わるので絶対的に効果的であると言うことでしょう。さらにTVも聴覚の有用性を援用してなのだろうが、CMの時になるとどうも音が少々大きくなるような気がするのは私だけではないようだ。因みにその際に音量を下げると、まず間違いなく本編に戻ったときに聴き取りにくくなっていますから間違いなくCMの時には放送局の方で音量を上げていると思う。の様なモノですね。まー、選挙の時の連呼の様なモノで、それはそれで「記憶に残る」訳でしょうが、とにかく先ずは注意(Attention) を喚起することが必要なのですね。この理論の意図的誤用”延用”が、言うまでもなく、くどいですが、例によって「聞こえない音は無いと同じ。仮に聞こえても精神一到、気にしなければ気にならない」と言う"専門家"の言う低周波音精神統一無問題理論なのでしょうが。

一方、「見ぬモノ清し」ではないが、見ないモノ、見えないモノは、知らない、解らないで、極端に言えば、無いと同じであり、それは気にすることもなく、何の問題もないことにもなる。同様に、食べたり、触ったりしなければ触覚も味覚も働きようがない。

ところが、「見えないモノ」でもそれにひとたび「匂い」とか「音」が加わると、それは本人の意志とは関係なく「個人の空間」に遠慮無く入り込んでくる。さらに悪いことに、それらを“瞬間的にor長期的に遮ることは難しい”。と言うわけでもなかろうが、これらを避けるために“長期的、広範囲等に於いて発生元となるような事業所等”に関しては法的に「悪臭止法」「騒音規制法」等により規制が行われているのであろう。ところが、これが個人対個人の場合になるとそうはいかない。

特に「匂い」については、「悪臭を定性的定量的にあらわすことは非常に困難であり、評価から人間の主観を排することができない。「不快」の定義及び数値化が困難で騒音以上に個人差が大きい感覚公害である。このこともあり、法令による規制対象としての悪臭は、日常生活でいうのとはいくぶん異なるものとなっている。」と言うことで、悪臭として、法的に規制されているのは、「し尿のようなにおい」「腐ったたまねぎ、腐った卵、腐ったキャベツ、腐った魚のようなにおい」「刺激的な、むせるような、甘酸っぱい焦げたにおい」「刺激的なシンナーのようなにおい」「ガソリンのようなにおい」等で、確かにだれでも「生活環境を損なうおそれのある」嫌な匂いである。だが、人によっては、シンナーやガソリンの匂いが好きな人もいるのだから一概には言えまい。これらは揮発性から火事とか、中毒の問題のほうが大きいと思うが。


昨今は、化学洗剤が強力になったのか、洗濯するとキレイにはなるのだが、何となく洗剤の匂いが付いてしまい、挙げ句に洗濯物がなぜか「ごわごわ」になってしまう。これは洗剤だけでなく、洗濯機のせいも有るのではないかと思うのだが、それこそ洗濯もしている”主夫の実感”で、詳しいことは解らない。

結局それを干しておくと、更にバリバリになり、私などは肌に傷つくくらいだが、そうしたバスタオルで拭くと気持ちいいくらいだ。が、我が家の孫なんぞは「体にキズが付く」と母親が言うのだから何と柔い肌と言いたいところだが、結局はこれを陰干しとか、2時間以上もかかる洗濯機の乾燥でやると結構柔らかくなる。

これを避けるのが、多分「香り付き柔軟剤」なのであろう。と言うのは私自身が、洗濯物に限らず、科学的な何らかの匂いが大嫌いで一切使っていないからであるが。元々香水系は大嫌いで、流石、倒れはしないが息苦しくなるのは間違いない。因みに、エナメル・リムーバー」なんてまるでシンナーの匂いと同じで、私はこの刺激臭には耐えられない。デパートの化粧品売り場は最悪である。

「香り付き柔軟剤」に限らず昨今の人混みは何とも甘ったるい“良い匂い”が充満している。もちろん、汗の臭いや、加齢臭(これらは高齢の男性の典型みたいになっているが、女性は強烈な匂いの化粧品で消されているのあろうと思うのだが)よりはマシなのかも知れないが、これはこれで息苦しい。と言うことで、詰まりは年寄りは出かけずに済むなら人混みには行かないのが一番であるが、そうはいかない人も少なくないのだから、強烈な匂いを発散させるしか仕方ないのであろう。

 これはイアフォーンで音楽を聞いていると、しかも痩せた貧弱な音を大音量で聞いていると、音感そのものが鈍くなると言うより、壊される。これが子どもの頃からだと、生とまでは言わないが本当の音を知らないようになる。ある意味聴覚障害者となっているのだが本人達は気付かない。と同じように昨今のように匂い過剰の環境では、臭覚も麻痺していくのであろう。臭覚の麻痺が怖いのは、賞味、いや消費期限に切れた食品の嗅ぎ分けができなくなる、と言うわけでも無かろうが、この頃の食品の賞味期限は短い。まー、冷凍食品の消費期限などは結構長いが、これは最初から美味くない。
人間が本来持つ感覚を「気にしないように」で麻痺させていく事の行き着く先は…。


さて、今般の低周波音問題的要点は、五感の中で最もランキングの低い臭覚に関するモノでさえ、行政がその気になれば、「岐阜市は二〇〇五年から市有施設に「香料自粛のお願い」というポスターを張っている。「健康被害の要因となることがあるので配慮をお願いします」と、市民に柔らかく呼び掛ける内容だ。」「公共施設のポスターやホームページに同様の「お願い」を出す自治体は、岐阜県、岡山県、滋賀県野洲市、同県守山市などと増えてきている。」という。

これは、低周波音被害者等の”待遇”とは大違いで、不特定多数的に化学物質過敏症者が多いのか、行政の窓口にもそうした“臭い”人がしばしば来て、職員が迷惑しているのか等と、これらの自治体のフットワークの軽さが、低周波音被害者的には非常に羨ましい限りであると言うことだ。「ただ、健康被害を感じている側は、実態調査や何らかの規制など、より実効性のある対策を国に求めている。」と言うことであるが誠にごもっともである。

なお、低周波音被害者の人たちの”悲鳴”は「STOP!音被害」の「低周波音害者の(アンケートより)」に寄せられている。


柔軟剤の香りで「体調不良」 

頭痛・吐き気など相談急増


 13/09/20 朝日にも「柔軟剤の香りで「体調不良」 頭痛・吐き気など相談急増」なんて記事が出た。匂いについては意外とみんなと言うより行政が煩いようだ。低周波音被害のように行政が一向に因果関係を認めないの比べて、匂い過敏症の人は非常にありがたい事であろう。まー、しかし、これが普通なのであり、低周波音問題の在り方が問題なのである。


【小泉浩樹】衣服を洗濯する時に使う柔軟剤の香りで体調を崩したと訴える相談が急増していると、国民生活センターが19日発表した。香りと体調不良との因果関係は不明だが、センターは「自分にとって快適なにおいでも、他人は不快に感じることもあるということを認識しよう」と消費者に呼びかけた。メーカーに対しても、消費者に配慮を促す取り組みをおこなうよう要望した。

 発表によると、「柔軟剤のにおい」に関する相談件数は2008年度は14件だったのが、12年度には65件と5倍近くに増えた。08年度以降の計187件のうち、6割以上の115件は頭痛や吐き気といった体調不良を訴える内容だった。

 また、「マンションの隣人が洗濯物を干すたびに体調が悪くなる」など、他人の柔軟剤利用に関する相談が7割を超えている。

 センターは「体調不良になる原因はわからない」と話す。ただ、柔軟剤を使って洗濯した衣服を干した後の部屋で揮発性の有機化合物の濃度を計ったところ、香りが強いタイプは微香タイプより3倍から7倍高くなったという。

衣服を洗濯する時に使う柔軟剤の香りで体調を崩したと訴える相談が急増していると、国民生活センターが19日発表した。香りと体調不良との因果関係は不明だが、センターは「自分にとって快適なにおいでも、他人は不快に感じることもあるということを認識しよう」と消費者に呼びかけた。メーカーに対しても、消費者に配慮を促す取り組みをおこなうよう要望した。

 発表によると、「柔軟剤のにおい」に関する相談件数は2008年度は14件だったのが、12年度には65件と5倍近くに増えた。08年度以降の計187件のうち、6割以上の115件は頭痛や吐き気といった体調不良を訴える内容だった。

 また、「マンションの隣人が洗濯物を干すたびに体調が悪くなる」など、他人の柔軟剤利用に関する相談が7割を超えている。

 センターは「体調不良になる原因はわからない」と話す。ただ、柔軟剤を使って洗濯した衣服を干した後の部屋で揮発性の有機化合物の濃度を計ったところ、香りが強いタイプは微香タイプより3倍から7倍高くなったという。

 柔軟剤は2000年代後半に香りの強い海外の製品がブームになり、国内メーカーも含め、香りの強い商品が増えた。一方で、その香りを巡り、市民団体から「化学物質過敏症の患者が外出しにくくなっている」といった声も出ている。

 柔軟剤メーカーで構成する日本石鹸(せっけん)洗剤工業会(東京都中央区)は「製品の安全性は確認している」との立場だ。ただ、「自分が良いと感じる香りでも他人は不快に感じることがあるということを消費者に啓発していく」として、今後対策を進めると話している。


130920,130903


学校での香料自粛を 過敏症の生徒ら増加

 上記の続報的に、2013年10月14日中日新聞に「学校での香料自粛を 過敏症の生徒ら増加」という記事が載った。
 具体的には、「化学物質過敏症の当事者の団体や彼らを支援する市民団体(香料自粛を求める会、化学物質問題市民研究会、日本消費者連盟関西グループ、反農薬東京グループの四団体)が今月四日、文部科学省に「(香料を使用した柔軟剤や制汗剤などで健康状態が悪化する学生や生徒が多いことを理由に)、学校等における香料自粛に関する要望」を提出した。と言うことだ。ここまで行けば黙殺は難しく、なにがしかの企業的自粛(規制)がなされるであろう。不買運動でも起こすことも可能であろう。
 
 この記事の最後に◆「重症患者の現実知って」として、「ドキュメンタリー映画「いのちの林檎(りんご)」で、主人公の三十代の女性は過敏症の重症患者で、化学物質の影響をあまり受けずに生活できる場所を探し、標高千メートル地点で母とテント生活を始めた、と言うことである。重症の低周波音被害者も似たような状況で、”終の棲家”を隣人の”低周波音発生装置”によりその場を去らざるを得なくなった人たちが少なくない。そして、一度、低周波音被害に冒されると低周波音に対しアレルギー的に反応する場合が少なくなく、引っ越し後も、新たなる騒音源の不安を感じ、自分の引越に際してそうだったように、”終の棲家”を見つけるのが難しく、詰まるところ、「標高千メートル地点でのテント生活」、即ち、近辺に騒音源が現在無く、また、もし後から騒音源が出来たら”直ぐに引っ越す”くらいの心構えがないと現在の所”終の棲家”はない。


131014


参考サイト:柔軟剤に気をつけて。「香りブーム」が子供に与える健康被害の実態  Life・Society 


参考サイト:NPO法人化学物質過敏症支援センター

 ここでは様々な問題が報道され、指摘されていることが知らされていますが、まとめて知らされると、これはこれで大きな問題と知ります。


160325


最後まで読んでくれてありがとう。

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