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エコキュート、設定にご注意 省エネ効果少ない場合も

朝日新聞  2008年12月26日3時0分

 電力各社や電器メーカー各社が販売に力を入れている最新型の電気給湯システム「エコキュート」。省エネ効果が大きく、低コストというのがセールスポイントだ。しかし、適切に設定しなければ、十分な省エネ効果が得られないことが検査機関の分析で分かった。100万円を超える商品もあり、トラブルも増えている。

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 エコキュートは空気をポンプで圧縮すると生じる熱で湯を沸かすシステム。電気はポンプを動かすために使われる。コロナ(新潟県)やパナソニック電工(大阪府)など12社が製造。10月末の累計出荷台数は150万台を超え、電力会社などによると、普及率は5%近いという。

 各社のホームページやパンフレットでは、少ない電気エネルギーで大きな給湯熱量を得られるなど従来型の電気やガス温水器よりも省エネ性能が高いことを強調。深夜の安い電力を使える「コストの低さ」も売りにしている。

 ところが、国土交通省所管の公益法人「建築環境・省エネルギー機構」が、複数社の製品で実験した結果、工場出荷時の設定のままでは、宣伝ほどの省エネ効果が得られず、ガス湯沸かし器と大差ない機種もあることが判明した。

 各社によって多少異なるが、設定は(1)大量使用時(2)標準(3)省エネ、の3種類程度切り替えられる。省エネ設定だと、ため置きする湯量が少なく、急にお湯が必要なときに足らなくなる可能性があるため、出荷時に標準設定にしているメーカーが多かった。

 同機構は今年5月、メーカーに対し、初期設定のままでは省エネ効果が十分でないことがあることを購入者に十分説明するよう要請。これを受け、各社はこれ以降の販売分については、標準ではなく省エネ設定で出荷するとともに、ホームページや取り扱い説明書で切り替え方法を知らせるようになったという。

 省エネ設定の呼び方は統一のものはなく、メーカーによって異なるため確認が必要だ。

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 一方、広告の表現や、訪問販売などが問題となるケースが増えている。

 九州電力の「ガスよりも電気が1年で最大約10万円安い」「30年間で約300万円がお得」などと書かれた広告について、公正取引委員会は10月、「購入費や設置工事費を含めると、そこまで安くない」などと不当表示を認定。同社に排除命令を出した。

 国民生活センターによると、07年度の電気温水器の訪問販売に関する相談は1343件で、03年度の200件の6倍以上。08年度も9月末までに、前年同期比で1.8倍の688件が寄せられた。エコキュートは、これらの約半数を占めるという。

 エコキュート導入に対し、経済産業省は補助金制度を設け、家庭用は1台あたり4万2千円を助成している。しかし、08年度分については募集が終わったという。

 静岡県の60代の女性は5月、訪問販売業者に「補助金の申請枠があと少しで定員になる。今日でないとダメだ」と粘られ、約173万円の契約を結ばされたという。

 6月には愛知県の40代の男性が「明日までなら初期費用がかからない」、7月には大阪府の30代女性が「電気代とガス代が安くなる。13年分の差額で買える」などと告げられ、それぞれ100万円前後の契約を結ばされたという。

 国民生活センターは、導入する場合は、数社から見積もりをとって、光熱費が安くなる場合の条件の説明を求めるよう助言している。(高田英、茂木克信)    朝日新聞社


 こういった省エネと効率を両立させ得ないような場合、両者の都合の良いところだけを謳うのは素人目には詐欺と思うような事も、国が推奨し、業界全体で行うという、余りにも大規模に行えば、詐欺とは言わないようだ。
 
 エコキュートのデメリットは大きく2つになるようだ。@設置場所A初期投資費用のようだ。少なくともAについては多いに問題であることは拙サイトで延々と述べた。密集地の都会では@は重要なのに、それでも無理無理設置するからお隣に大いなる騒音迷惑を掛ける様な事になる。

 こういった点が一向に広まらないないのは業者ではなく、国とマスコミにある。

 こういった、問題は風力発電問題のように、電力業界全体を敵に回すような問題は広告費を削減されてしまうので、マスコミ的に大きく継続的に採り上げられることは決してない。一過性で忘れられてしまう。


 これとは規模、種類とも異なるが、アメリカの金融危機の元は、簡単に言えば、質の劣る債券をプロの目にも解らないほど細かくし、ステップを経て、上質な債券にしていって世界中を詐欺したモノだが、世界中が騙されてしまえば、それは最早犯罪ではないと言う理論と根は同じ。

 こういった”事件”がある度に、チャップリンの映画「殺人狂時代」で主人公が語る、「殺人は個人が小さな規模で行えば犯罪であるが、国家的に行う大規模な殺人である戦争は大ビジネス」となると言うような言葉は今でもマルマル通用するのではないか。


2009/01/05