伊豆半島の風力発電に関する有識者会議@A
低周波音関係分
低周波の問題も同じような問題があるのです。
低周波の問題…は、今後どうするかは非常に大きな問題です。
現に苦痛を訴えている方もいらっしゃるわけです。
しかし、それをきちんと立証しないといけない。
でも、それには今、方法が全く確立されていない。
静岡県により「伊豆半島における地域特性を考慮した同地区における風力発電の在り方について、環境政策やジオパーク、景観、観光、地域振興等の観点から意見を求めるため設置」された「伊豆半島の風力発電に関する有識者会議」はこれまでに平成23年4月、6月と2回開催されている。
そもそも、この会議の目的は「(目的)第1条 伊豆半島における地域特性を考慮した同地区における風力発電の在り方について、環境政策やジオパーク、景観、観光、地域振興等の観点から意見を求めるため、伊豆半島の風力発電に関する有識者会議(以下「会議」という。)を設置する。」(「伊豆半島の風力発電に関する有識者会議設置要綱」)と言うことであり、本来ならば既に風力発電施設により「ジオパーク、景観」が破壊されたり、風車騒音問題などが起きる前、即ち、最初の風車が建つ前に環境影響評価の対象として為されて然るべき筋合いのモノであったはずで、何とも詮無いことであるが、最早取り返しの付かないことが殆どであろうが、何とか取り返しが付くとか、これ以上悪くしないとか何らかの手が打てるかも知れない。
議事録を見ると“低周波音問題と言う観点”からすると、直近的にも、根本的にも中々に興味あるお話が為されている。どうしてこうした話の内容が、これまでに一般的に出てこなかったのか不思議と言えば不思議だとも言えるが、やはり低周波音問題と言うのはそれだけマイナーな話なのだろう。
当サイトの主旨として敢えて“低周波音問題と言う観点”からのみの重要ポイントを最初に抜き出してみた。その前後に連なる発言全体とかその流れはサイト上の議事録全文を参照して頂きたいが、項目毎に議論されたのか、議事録編集段階で整理されたのか不明だが、繋がりを省くと問題になる様な点は幸い無いようなので、独立的に抜粋してみた。なお、各氏の発言議事録における段落、下線・太字等は筆者(管理人)によるものである。
議事録順に要点を私的にかいつまむと、話の内容からして、C委員は多分、橘 秀樹(たちばな ひでき)氏であろうが、氏は「千葉工業大学情報科学部教授 1943年東京都生まれ。東京大学工学部卒業。東京大学生産技術研究所教授を経て、現在、千葉工業大学教授。音響工学専攻。工学博士、東京大学名誉教授。1995年日本音響学会会長、2002年日本騒音制御工学会会長、2004年国際騒音制御工学会会長」。
@超低周波音まで出せる設備をつくりまして、聴感的実験で人間の聴覚的な閾値を確認する実験を始めています。さらに、風車騒音そのものを再生して、それに対する人間の反応を実験的に調べてみることも考えています。
A風車騒音の問題というのは、日本ではまだ未熟な段階で、…、直接的影響があるというようなリポートも出ていますけれども、なかなかその辺を科学的に立証する、あるいは、特に直接的な健康影響が出るかというのをはっきりさせるのは非常に難しい。
つまり、(騒音制御と言う分野は)学問的に未熟なので、今後研究するには金と時間は掛かり、尚かつ非常に難しいが、風車騒音問題はあくまで騒音問題であるから、解決できる。それには、とにかくひとまず“長期にわたり金を出せ”と言う”学会”を代表したと言うことであろう。しかし、「風車騒音そのものを再生」と言うのは、「参照値」決めるに当たり利用された似たような装置が既に産総研にあるはずで、それを使って風車騒音被害者を”モルモットしている”はずなのだから、それをまたそれなりに金を掛けて造るのであれば、それはそれなりに装置の違いを明確にすべきであろう。
例えば、”あれは(産総研にあるのは)使い物にならない。従って、あれで実験した結果を参考とした様な「参照値」は間違っているとまでは言えないまでも、問題が有る”とかしないことには適当な理由が無かろう。タダ単に”自分たちでも別にやってみたい”くらいでは。
しかしながら、「風車騒音そのものを再生して」と言うことは実験室では難しいと言うことは後に出てくる発言からも判る訳だが、それでも尚かつ新たにこの人はこの際に予算を分捕る事を考えているのであろうか。
H委員は「音と脳」の観点から話しており、この人は、多分、大橋力氏ということでしょうが、氏は、「1933年、栃木県生まれ。東北大学農学部卒。農学博士。筑波大学講師、文部省放送教育開発センター教授、千葉工業大学教授、ATR人間情報通信研究所感性脳機能特別研究室長等を歴任。現在、文明科学研究所所長、財団法人国際科学振興財団主席研究員。山城祥二の名で芸能山城組を主宰。」です。
@影響は音波の形に依存するところがあるようだ。
Aこの存在していても知覚できない低周波振動がいろいろネガティブな作用を導いている。神経ガスみたいなところがあるわけで、ちょっと怖い。
B超高周波は、…超低周波の場合と反対に、気持ちがよくなるのです。それはなぜなのかを研究していったところ、次のようなことが分かりました。脳の中の一番奥に脳幹という部位があります。これは、脳死の判定に使われるところで、この脳幹の活動が止まったときに人が死んだと判定します。それは不可逆的で、絶対戻らないというふうに、一応学会では認められている。つまり生命を司る一番肝心要な部位は脳幹で、そこを聴こえない超高周波音が活性化することを突き止めました。(ハイパーソニック・エフェクト)
C低周波の脳に対する生理的な影響・障害は、まだ、超高周波の影響のようにきちんとは調べられていないことです。それはなぜかというと、担当する学問分野の遅れなのです。
私個人としては大橋力氏は「芸能山城組の主宰者山城祥二」さんとして随分昔に知っていたわけで「インドネシア・バリ島のケチャの全編上演成功を機に、1974年1月19日に設立された。」と言うことですからそれは既に30年以上40年近い昔の話ですね。多分こうした影響もあって当時はバリが結構人気の旅行地で、当に30年以上前に、私が始めていった東南アジアはバリ島でした。当時の日本では音楽的にも単にバリ、ガムランと言うより世界の民族音楽と言うジャンルが創られつつあった頃で、今のように洗練された状態ではなく比較的生の状態の「現地録音」がブームになり、その一部を日本に植え付けた一人でしょうが、こうした人が延々とこうした面で蠢いてみえたとは知りませんでした。
低周波音の影響で「音波の形に依存する」と言うことはこれは「音色」を指すことで、低周波音におけるこの影響を私は長らく主張していたが、可能性レベルにしても識者の文字で初めて触れているのは私が知る限り氏が初めてではなかろうか。単純に我が意を得たりと言うことであるが。
長期の研究により「超高周波は、…超低周波の場合と反対に、気持ちがよくなる。それは…脳幹を…聴こえない超高周波音が活性化する」すると言うことであることを突き止めた。即ち、「基幹脳の血流」の測定値が“音に対する快・不快”の「間接的な指標」として使えるのではないか、と言うことであろう。
繰り返すと、「音に対する快・不快」は「基幹脳の血流」の測定値変化が少なくとも超高周波については証明されたわけで、素人的には単純に当然ながら「逆も又真なり」と直裁的に考え、こちらの調査で十分だと思うのはそこはそれ素人考えであり、“専門家的、科学的“に、”それなりの設備で、それなりの人間("専門家")が自分で直接調査しないことには納得しないのが科学の世界であり、それには間違いなく、莫大な時間と経費がかかるのであろう。
もし、そうしないと、例えば、簡単に”低周波音は人間に悪い影響を与える”事が解ってしまうと、”一体全体お前達はこれまで何をしていたんだ!”と言うことがばれてしまうことは必定であるからだ。
しかし、何としても「低周波音を不快に感じるときは、基幹脳の血流はストレスがかかると低下する。これにより(「参照値」とか閾値のような)一律の音の大きさによりに音の快・不快が生じるのではなく、個人差があり、それは検査により診断できる」と言うことを是非とも「科学的」に証明してもらいたいモノである。しかしながら、…
(環境局長)第2回会議の始めに前回からの繋ぎとまとめとして
@人間の脳の状況におきましては、心地良さを感じると、心身状態を制御する上で最も重要な脳幹・視床・視床下部で構成する深部脳の活動が活発になり、血流が増加し、ストレスがかかると血流が低下することから、深部脳の血流を測定することにより脳が受けている影響を調べることができる。
しかし、深部脳の血流の計測にはサイクロトロンなどを含む大型の医療用画像装置が必要であり、フィールドでは実施できない。一方、風車が発生する超低周波音を実験室内で創り出す実用レベルの方法が存在しないため、実験室での計測は現実的ではない。低周波については、まだその研究がほとんど着手されていない。(従って、分野的にも技術的にも)こちらが考えていたほど簡単ではない。
(L委員)は低周波音の今日まで及び今日的課題の凡その流れを概説されており、話の流れと内容から塩田正純氏でしょう。
@私たち工学系は、防止・対策技術の方に入り込んで、防止対策を実施しても、苦情の発生が低減しないことから医学系研究者と協力していかなければいけないのではないかということで、最近、そういう医学関係の先生方に相談をしております。
A低周波数領域の音を聞くことによって、直接的に病気になることはほとんどありません。ただし、それを1年、2年、3年連続的に暴露される。そうすると、それによってストレスがたまっていく。そのストレスがたまることによって何が起きるかというと、自分の体の中に内部疾患があったときに、そのことがトリガーになって発現するということがありうるだろう
B低周波数領域の聴覚を研究している研究者は、日本にはほとんどいないのです。ですから、低周波数領域の聴覚研究のための計測器も何もないので、新たに計測器をつくって、計測方法も新たに決めて、手法も決めて、それで研究を展開していくことになると思います。
C事業者の立場から、新たな科学的知見が無い場合にどのような対応を行うのか。このような場合には、不確実性に対する考え方があります。その不確実性の考え方には、予防原則という考え方がある。
D環境省の戦略指定研究とマッチングしていくということになりますので、それをここで、とてつもないことをやっても、環境省の3年間の疫学調査結果と違うようなデータが出てくるということになると、また解釈の仕方といいますか、できれば同じような方針、あるいは補完をしながらやれることがあるのであれば、そういう方向で進めていった方がいい。
塩田氏は近年公害等調整委員会の委員もしばらくされており、それなりの成果も挙げたと聞いていますが、そちらに関する具体的な話はここでは出ていません。それは、残念なことに公害等調整委員会に東伊豆町奈良本の風力発電施設をめぐり住民が健康被害を訴えて申請された原因裁定が原告により取り下げられてしまい、具体的に審議されなかったと言うこともあるかもしれません。
いずれにしても、この方の話はこれまで、私がこれまでに結構馴染んできている内容であり、想定内ではありますが、氏の思いが“その世界”で十分に実現されているとは思えません。そして、ただ一つ、私が、これまで幾ら探しても見つからない、「周波数領域の聴覚を研究している研究者は、日本にはほとんどいない」と言う事が専門家の口からハッキリなされたことはある意味納得でありますが、やはり失望です。
そして、これは世界に於いても同じであり、「イギリスの元ロンドン大学のレベンソール(Leventhall)という先生が…、国際的に低周波音研究のイニシアチブを取っておりますが」の通りその考えは、もちろん日本の“低周波音の専門家”の主流的考えで、それが学会的に完全主流であるかどうかは別にして、現実的には行政の窓口は勿論、公害等調整委員会や恐らく裁判の場で、低周波音被害者の前に立ち塞がる「参照値」の「聞こえない音(低周波音)によっては健康被害は生じない」と言う根本的な考えを裏付けていることは明らかでしょう。
因みにレベンソール氏はオーストラリア政府国立保険医療研究評議会による「Wind Turbines and Health」におて、「可聴音域の騒音に加え,風力発電所からの超低周波音とその健康影響について…,風車が発する低周波音もしくは超低周波音はごくわずかであり,何の影響も及ぼさないとしている」とか「風車から生じる超低周波音は無視できるレベルであり,低周波音は通常はほとんど存在しない」という引用がされており、”風車推進派の守護神”のような存在である一方、風車反対派からは金儲けの亡者とされている。
「担当する学問分野の遅れ」や「周波数領域の聴覚を研究している研究者は、日本にはほとんどいない」とされる学問分野の科学的知見により形成されたのが環境省のこれまでの「参照値」などの“とりあえずの基準”なのだが、それが末端行政レベルにおいて振るう絶大な“低周波音被害者の足きりツールとしての”有効性は、とても「暫定基準」と言うようなレベルは完全に超えている。が、その科学的有効性に対する疑問点を一番知っているのは、作成者であり、環境省であることは言うまでもなかろう。が、既に一人歩きを始めてしまった数字の“威力”を放置どころか意図的に利用し、結果としては低周波音問題を放置状態にし、現実としては無作為を決め込む行政は低周波音被害者に苦痛を強いるばかりである。
これに関しては、知事が述べている「科学的根拠だけでも具合が悪いのです。やはりいろいろと多様性がある。それは人の多様性と一緒です。ですから、両方大事にします。」と言う言葉は人間としては至極当たり前の言葉なのだが、それが立派に聞こえてしまうのはあくまで他者との相対的な事なのであろう。
以下は本文から低周波音に関すると思われる部分の抜粋。
第1回伊豆半島の風力発電に関する有識者会議
議事録順で行くと、最初は、第1回伊豆半島の風力発電に関する有識者会議で発言(P.14〜)。現在環境省からの風車騒音調査をしているC委員。
(C委員) 私は専門が音響工学と書いてあると思いますが、もともと建築の出身でございまして、音を生かす、例えばコンサートホールの音響とか、そういうのが本当はやりたくて、音を始めたのですけれども、最近では音を殺すほう、騒音環境行政のお手伝いなどをやっています。
今日この場に呼ばれたのは、平成22 年度から環境省の戦略指定研究で、風車の騒音の調査を3年間でやるということで、昨年度から始めているからだと思います。この研究では、とにかくたくさんのサイトに行って、騒音の実測をするというものです。風車の騒音というのは御存じのように、ここにも低周波音と書かれていますけれども、これの解釈がなかなか難しいのです。この低周波音という呼び方は環境省が付けたのですが、国によっても定義が違います。私の感じでは、低周波性騒音ぐらいにしておいたほうがいいのではないかと思います。何か、摩訶不思議で、普通は耳に聞こえないような低い周波数の音が聞こえてくるというふうにとられてしまっているような気がします。
この戦略指定研究で計画していますのは全国36 カ所ぐらいの調査をやろうということで、昨年度は手始めに6カ所やりました。連続6日間ぐらいの測定で大変なのですが、ワンサイト7、8地点の測定でずっと連続して測る。それと同時に、社会反応調査、アンケート調査も周辺でやっています。健康影響については、周辺住民の方々に直接聴診器を当てたり、血圧を測ったりはとてもできません。これについては、社会反応調査の中で、アンケートの中で聞いていくことしかできない。われわれは、お医者さんみたいに直接診断的なことはできないので、それは含んでおりません。
それからもう一つは、低周波音と呼ばれている音が本当にどのくらい耳に聞こえるのかという問題です。この問題については世界各国でいくつか研究例があるのですけれども、われわれもやってみようということで、東大の生産技術研究所の音響実験室を利用して、超低周波音まで出せる設備をつくりまして、聴感的実験で人間の聴覚的な閾値を確認する実験を始めています。さらに、風車騒音そのものを再生して、それに対する人間の反応を実験的に調べてみることも考えています。
そんなことをやっていまして、実はまだ初年度を終わったばかりで、個人的意見はいろいろあるのですけれども、今の段階であまり断定的なことは言えません。ただ言えることは、私も6カ所のうち5カ所を3日間ずつぐらい歩き回って、騒音の測定と同時に自分自身でいろいろな農家、住宅の軒先などで音をずっといて聞いてみました。やはり騒音なんです。聞こえます。
アンケート調査の結果は、またサンプル数が集まってから公表しますけれども、立ち話的に住民の方に話を伺うと、「もう慣れましたけどね」という反応もありましたけれども、「やはり夜はうるさいです。気になったら眠れません」などという意見もよく耳にしました。やはり私自身が耳で聞いてみても、もともときわめて静かな場所だったところに、ほとんど自分でコントロールできない音が、これも時々鳴るのならいいのですけれども、ほとんど鳴りっぱなしというような状況ですから、これは低周波音だ、超低周波音だという問題の前に、やっぱり普通の騒音の問題であると思います。
このような騒音が住民の反応としてどう出るかというのは、これからさらに多くの調査をしてそれらを分析しなければいけませんので、今日ここではっきりしたことを言えませんので、またの機会にしたいと思います。
風車騒音の問題というのは、日本ではまだ未熟な段階ですけれども、最近では、国際学会でも大きなテーマとして取り上げられており、いろいろな国でいろいろな問題が起こっているようです。中には、家畜などにも直接的影響があるというようなリポートも出ていますけれども、なかなかその辺を科学的に立証する、あるいは、特に直接的な健康影響が出るかというのをはっきりさせるのは非常に難しいのです。しかし、少なくとも音響工学的には、アノイアンス、嫌だなあというような感じがすることは事実です。健康影響という直接的な影響は否定もできませんし、肯定もできない問題ですけれども、アノイアンスという問題についてはやっぱり十分気を付けていかなければいけない。
それから、風車から数百メートル離れても騒音は聞こえる場所が多くあります。ですから、セットバック距離を国によって決めている国もあるようですけれども、人が住んでいるところの近くにはやはり建てるべきではないなあという感じがしています。
続いて、「音と脳」の観点から話しているH委員
(H委員) 私は、音と脳との関係を長い間研究してきていますので、まず、そういう立場からお話ししてみたいと思います。(P.33〜)
脳科学は今、とても活性が高いのですけれども、国際的に有力な脳科学の教科書に、超低周波が人体に及ぼす影響について1ページぐらい書かれています。まず、音の本体である物体の振動数が1秒間に20回以下または2万回以上である場合、それらは人間には音として聴こえない。しかし、ある種の動物には聴こえる場合があるというような一通りの説明があります。
その聴こえない低周波振動があることによって、頭痛がしたり、気持ちが悪くなったり、そういう不快感がいろいろと出てくる。先ほど副座長がおっしゃったことは、教科書に書かれていることなのです。かつ、あまり低周波が強いと内臓破裂というようなことも考えられるので気をつけたほうがいいなどということが、権威ある神経科学の教科書に実際に書いてあります。
ところが、興味深いことに、そうした影響は音波の形に依存するところがあるようなのです。周波数だけではなく、その変化の状態。それともう一つは、もちろん大きさです。ちなみに、一番手近にある低周波の発信源は何でしょうか。それは、私たちの内臓です。内臓の筋肉の動きから出るとても弱い超低周波が計測されていて、だいたい20Hz から25kHz ぐらいです。これには全く悪影響が認められない。というような面白い事実が、脳と音との関係の中で調べられてきている。
もう少し具体的に説明します。音というのは空気の振動、つまり波で、速い振動をもつ音波が高く、ゆっくりの振動をもつ音波が低く聞えます。聴こえている音の振動数をどんどん減らしていくと、だんだん音として聴こえる人がいなくなっていって、やがて誰にも聴こえなくなってしまう。その限界がだいたい1秒間に20 回ぐらいで、もっと低い音が仮にあったとしても人間には聴こえないわけです。ところが、この存在していても知覚できない低周波振動がいろいろネガティブな作用を導いている。神経ガスみたいなところがあるわけで、ちょっと怖い。
ちょうどその反対に、だんだん音の周波数を上げていくと、同じく誰にも聴こえなくなってくる。実は、私の研究は、誰にも聴こえないような高い周波数の音が人間にどういう影響を及ぼすかについて長い間調べてきたわけです。そういう超高周波は、座長が大事にしておられる熱帯雨林の環境音に、たくさん含まれている場合があります。そういう音を聴いていると、超低周波の場合と反対に、気持ちがよくなるのです。それはなぜなのかを研究していったところ、次のようなことが分かりました。
脳の中の一番奥に脳幹という部位があります。これは、脳死の判定に使われるところで、この脳幹の活動が止まったときに人が死んだと判定します。それは不可逆的で、絶対戻らないというふうに、一応学会では認められている。つまり生命を司る一番肝心要な部位は脳幹で、そこを聴こえない超高周波音が活性化することを突き止めました。
もう一つ大切なのは、超高周波が活性化する脳幹・視床・視床下部を含む<基幹脳>が精神活動と肉体の活性を結ぶ部位であること。聴こえない超高周波音がこの部位をまとめて活性化するのです。ここの活性が上がっていれば、心身が連動して共によい状態になる。つまり、心身一如という状態を作っているのがこの基幹脳なのです。脳基幹の活動が、例えば熱帯雨林などの超高周波を含んだ音で高められる。その結果、何が起こるかというと、例えば免疫活性が上がるとか、交感神経の活動がちょうどいいところへバランスしたりして、いわゆる現代病などに対する抵抗力がものすごく高まるわけです。
もう一つ注目されるのは、超高周波は、気持ちのよさや美しさといった感覚を発生させる脳の<報酬系>という領域の活動を同時に高めることです。これは、まさに心身一如ですね。心にいいものは体によく、体にいいものは心においしい、ということになるのです。ところが、その有効成分(超高周波)は誰にも知覚できない。このようなことが、先端的な方法で研究して、初めて分かってきたわけです。この複合効果をハイパーソニック・エフェクトと呼びます。
というようなことがあってこのような現象の発見によって、音つまり空気の振動と、われわれの体や心との関係について、これまで想像もしなかった事実が明らかにされつつあります。単に聴こえるからとか、静かだからということで判断できなくなってしまったという状態にあります。音として聴こえない高い周波数については、われわれはずいぶん突っ込んで研究して、その御利益を明らかにしてきているわけです。
座長は、東京でイライラして疲れてしまうと、私のラボに来て、1時間ぐらいそういうハイパーソニック・サウンドを浴びて元気を回復し、また憎まれ口をたたき始めるわけです。私たち人類の遺伝子をつくってくれた熱帯雨林の音ですから、いわば胎内に入ったと同じですよね。当然、そういう癒しや安らぎを導く必然性はあるはずだと思います。
ここで、一つ指摘しておきたいのは、実は、低周波の脳に対する生理的な影響・障害は、まだ、超高周波の影響のようにきちんとは調べられていないことです。それはなぜかというと、担当する学問分野の遅れなのです。ところが、先ほどお話ししたハイパーソニック・エフェクト、つまり知覚できない超高周波音のすぐれた効果を、ついに脳機能としてとらえた、この領域で一番腕のよい若い学者が日本にいるのです。それは、東京の小平にある厚生労働省の国立精神・神経医療研究センターの本田部長という方で、いまそこに日本最高の脳のイメージングセンターが作られつつあります。そこの副センター長でもあって、世界でも一級の装置群を抱えていますので、そういう先生をぜひここの委員として入ってもらったらいいのではないかと思います。
本田先生はさらに、先ほど副座長が言っておられたような問題が現に発生しているフィールドで計測できるような装置を、唯一世界で開発して持っています。間接的な指標ですけれども、現場で測って基幹脳の血流が分かるのです。だから、風力発電の音をそういうような生理学的な方法で調べて、もし心配がないことが確かめられたら、いいデザインでやろうといったことを考えたらいいと思うのです。
でも、もし懸念が払拭できないとしたら、後からでは取り返しがつきませんから、十二分な安全性が確かめられるまで1年、2年、時間がかかっても慎重を期すのが賢明でしょう。これまでの質問紙調査で主観的に調べるだけでなく、脳機能に注目した生理的な安全性評価をやったほうがいいと思うのです。私は、これを提案したいと思います。これが第1の話題です。
(知事) 副座長がおっしゃっていたけれど、本当に聞こえるから、夜、眠れないと。科学的なここ以下ならば安全だと出ているところに住んでいて、なおかつ聞こえて寝られないというのと、どちらを信じるかといったら、私は両方信じます。例えば500m以内だったら、駄目だという。あるいは、これだと、場所によって2qでも聞こえるという話なのです。
それは、例えばどこかで、1q以内だから出なさいと言われたと。それは、今回の放射能で、一番最初に枝野官房長官が、3q以内の人たちは避難指示をしました。指示というのは何ですか。あれは命令です。危険だから、そこから出ろということです。キロ数は違うけれど、風力発電にもそれがあります。ですから、そこには住めないということを言っている。実は、そういう大きな問題を抱えている発電装置なんです。
ですから、私は言うのです。推進する人がいるなら、君、500mで大丈夫だったら、そこに住んでくれと。君自身が住んでくれと。それができない限り、それを推進するということは無責任だと。それぐらいこの問題は、人の幸せのためのエネルギーですから、そこを抜きにして、科学的根拠だけでも具合が悪いのです。やはりいろいろと多様性がある。それは人の多様性と一緒です。ですから、両方大事にします。
(H委員) まさにおっしゃるとおりです。実は、先ほどお話しした高周波音のポジティブ効果というのが同じなんです。理屈抜きで多くの人々がいいと言っていたことが、結局、正しかった。理屈や知識がどうであろうと快いものは快く、不快なものは不快です。私自身の体験としても、当時の先端的な科学は、超高周波音の効果を全く否定していて、やがてそれをくつがえしたという経緯があるので、いまのご発言はものすごく重要だと思います。
第2回伊豆半島の風力発電に関する有識者会議
(環境局長) 超高周波音の優れた効果を脳機能としてとらえた国立精神・神経医療研究センターの本田部長が、この研究分野において優れているとの助言をいただき、超低周波音についても調査していただいたらどうかというH委員の御提案がございまして、本田部長に考え方を伺ってまいりました。その状況が資料2です。
まず、人間の脳の状況におきましては、心地良さを感じると、心身状態を制御する上で最も重要な脳幹・視床・視床下部で構成する深部脳の活動が活発になり、血流が増加し、ストレスがかかると血流が低下することから、深部脳の血流を測定することにより脳が受けている影響を調べることができるということの状況から伺ったところです。
資料2は、調査原理、実験手法、課題を本田先生から直接伺ったものです。1番の調査原理でいいますと、○の4つ目、深部脳の血流の計測にはサイクロトロンなどを含む大型の医療用画像装置が必要であり、フィールドでは実施できない。一方、風車が発生する超低周波音を実験室内で創り出す実用レベルの方法が存在しないため、実験室での計測は現実的ではないというような部分の調査原理だと伺っております。
「2」の実験手法としまして、1地点あたりで、概ね15 人から20 人程度で検討をというお話がありましたが、2の○の3つ目の状況にありますように、風車が発生する音や振動以外の環境条件の変動が結果に及ぼすことを避けるために、実際の住宅などの中に被験者を所在させて計測することを初期条件として、検討を開始しなければいけないということです。
「3」の課題として、高周波音につきましては、研究が進んでいるところもございますが、低周波音が脳機能に及ぼす影響について調査を行った経験が今までにはないと。実際上、調査を行う場合は、実験手法をこの目的に合わせて、試行錯誤しながら進めていく必要があるという御意見です。
裏面にいきまして、今回の場合のような状況では、風車が稼働している条件と稼働していない条件とで脳が受ける影響に差があるということで、仮説を立ててやらなければいけないということがありますけれども、それをもって風車が稼働している条件と稼動していない条件と、脳が受ける影響は差がなく安全であるとは言えない点がある。
5
最後の○にありますように、脳波を用いて深部脳の活動を推定する方法は、深部脳全体の活動を反映しており、深部脳の中のどの部位の活動を特異的に反映しているかについては、現時点では確立した知見がない。神経等を含めまして、包括的な活動を計測することは意義が大きいとは考えられていますけれども、今の状況ではなかなか難しいという御意見をいただきました。以上です。
(座長) これは、H委員が、長い間、高周波の研究をされていまして、高周波が脳に大きな影響を与えるということが認められるのに20 年ぐらいかかったわけです。低周波については、まだその研究がほとんど着手されていない。これからというところであるということも私はよく分かりましたが、H委員が提案されましたので、もし実験ができるならやってみようと思って、県の方にお願いをして調査をしていただきました。
こちらが考えていたほど簡単ではないということが分かったのですが、これについて、委員の方から何か御意見はございますか。今日はH委員が欠席なので申し訳ないのですが、御本人がいらっしゃらないと、コメントのしようがないですね。私が一番これについては親しんでいると思いますが、現実にはデンマークなどでも風車を大量に作っていますが、日本人はそういうことに対しては、デンマーク人よりも敏感なんだろうと。デンマークではそういう低周波の被害はあまりないと言っているわけです。あるいは、この間、K委員が浜松のお話をされましたよね。浜松でそういう風車を作られたのですが、浜松では、そういう低周波の公害は出ていないのですよね。
(K委員) 造ったばかりですのでまだはっきりしていません。今のところ直接の苦情は聞いておりませんが、別ルートであるかもしれません。私は環境アセスメントをやっていて、浜松市引佐町のところに10 基を認可した立場からですが、そのときには対応が非常によくて、スムーズに建設されたものです。その後、しばらくの間、情報が途絶えていますので、苦情は、私のところには届いていないということです。こういう問題が起こると、得てして反応を起こす人がいるものです。そのことについてはまだ分かっておりません。
(座長) 御本人がいらっしゃらないので、H委員が、どうしてもと言われれば、考えようと思いますので、ここではペンディングということにさせていただきます。
(L委員)(P.6〜)
低周波音について誤解が非常にあって、低周波音関係の研究をやっている立場からすると、非常にじくじたるものがあります。というのは、3年ぐらい前に、東京で低周波音関係の国際会議がありました。そのときに、デンマークのデルタという会社の方と、イギリスの元ロンドン大学のレベンソール(Leventhall)という先生がいらっしゃいました。
この先生が国際的に低周波音研究のイニシアチブを取っておりますが、その中で、低周波音というものがないのにもかかわらず、そのようなことを言ってしまった研究者が実はいたわけです。それが1960 年代後半、低周波音の研究をしているときに、例えばH委員が、超高周波数成分から見たら、騒音は低周波数成分の音領域に入ってきます。
ですから、そのような領域からいけば、低いほうの周波数成分は、低周波音の領域になります。そうすると、研究者の立場によっては、低周波音というと、どの周波数を対象にして指しているかということが非常にあいまいになってしまいます。たまたまフランスの研究者が高い周波数の研究をやっている中で、200Hz 前後を低周波音とか超低周波音とか言ったとされております。そのようなことが、ポピュラーサイエンス誌に発表され、そのことが、全世界に波及してしまったというようなことで、そのような歴史的な経過がありますということを、レベンソール先生が研究をしている中でお話をしていただきました。
そう言いながらも、日本では、昭和40 年代、いまから約45、46 年前に低周波音問題が実はあったのです。そのころは、低周波音関係の計測器は存在しておりませんでした。現在のように身心に対する影響というよりは、建築物における物的影響、主に、がたつきの問題が非常に多くて、そのがたつきをなくすための工学的な技術が非常に進んで、最近はそういう物的なことについて被害、影響があるというような訴えはほとんどなくなってきました。
一方、建築物自体がものすごくよくなってきたわけです。住宅建築物自体が、高防音化、高密度化しております。これは何かというと、屋外から室内へ騒音が透過しにくくなってきたということであります。そうしますと、高い周波数成分はほとんど遮音される。結局、低い周波数成分だけが透過してくる。その低い周波数成分の音が聞こえてくるということになります。工学的なことも含めて、心理的な研究も盛んに行われてきたのですが、一般的な騒音と違って、実は低周波音関係の規格等がないのです。
例えば、実験施設の大きさや測定器、測定方法も国際的に統一した規格や標準が決まってないのです。世界各国の研究者達は、独自の方法で研究開発を実践してきたのです。その研究結果を一つのグラフにまとめたわけです。十数年前に、デンマークのオルボー大学で低周波音国際会議があったときに、その研究結果が発表されました。可聴音域の等感度曲線については、ほとんどの研究者において、ほとんど一致しておりました。
ところが、1Hz から20Hz以下の超低周波音領域では、研究者による研究結果に非常に幅の広がりがあったのです。これまでの国際的な規格では、平均値で決めることが多いのです。ISO などは、平均値による曲線で表現しているが、実際は、標準偏差がプラスマイナスが5dB 程度の範囲にあり、教科書などには平均値による曲線が出ている。ところが、20Hz 以下では、平均値で表現するのは非常に危険だということで、そのときには決めなかったのです。研究者たちがこれは決められないということで、それぞれの国の特徴をもって、国レベルで決められた方がよろしいのではないですかという話になったのです。
日本では超低周波数領域(1Hz から20Hz)と騒音領域(20Hz から8,000 Hz)を1本の曲線で表現できないかと研究していた。1本の曲線で補正ができれば、これは非常に分かりやすく測定ができる。しかしながら、超低周波数20Hz のところで変曲点ができてしまったのです。20Hz 以下の特性と、日本では約20Hz から100Hz 前後ぐらいの特性を分けて、20Hz以下は超低周波音、20Hz から100Hz のところは可聴音。それを併せて低周波音と呼ぶようになってきたわけです。
ところで、海外では、英語でインフラサウンド(infrasound)とか、ローフリーケンシ(7)ーノイズ(Low Frequency noise)、ローフリーケンシーサウンド(Low Frequency sound)と呼称し、それを翻訳する際に、どのようにしたら良いかが困ったのです。それで、最近少し反省しているのですが、低周波音と訳さないで、低周波騒音と訳せばよかったかなと。
人工的な音源というと、ダムやトンネルを建設するときに利用するダイナマイトからは、周波数5Hz 前後がピークとなる超低周波音が発生します。発生源近傍では120dB とか130dBぐらいの超低周波音圧レベルになりますから、結構、遠距離まで聞こえることがあります。音圧が大きければ、低周波音でも聞こえる。
いろいろ錯綜している中で、健康影響とか健康被害の話しが出てくるのですが、私たち工学系は、防止・対策技術の方に入り込んで、防止対策を実施しても、苦情の発生が低減しないことから医学系研究者と協力していかなければいけないのではないかということで、最近、そういう医学関係の先生方に相談をしております。その中で、アノイアンス、いわゆる音が気になってしょうがないという方たちは、たくさんいらっしゃるのです。音が気になってしょうがないということは、「直接的な病気ではありません」と言っているわけです。
というのは、低周波数領域の音を聞くことによって、直接的に病気になることはほとんどありません。ただし、それを1年、2年、3年連続的に暴露される。そうすると、それによってストレスがたまっていく。そのストレスがたまることによって何が起きるかというと、自分の体の中に内部疾患があったときに、そのことがトリガーになって発現するということがありうるだろうと言われていて、お医者さんも、そういうことがあるのではないかと言っています。
もう一つは、年齢的に高齢になっても低周波数領域のある程度の音圧レベルは聞こえます。高周波数領域の音は、加齢と共に聞こえなくなっていくのです。ですから、周波数4,000Hz とか2,000Hz とか、全然聞こえなくなっていくのですが、100Hz とか50Hz とか40Hzは聞こえます。低周波数領域の音が聞こえるということは病気でも何でもないので、お医者さんとしては研究をするターゲットが何もないと言っおります。ですから、お医者さんは患者がいないと研究が始まらないということを言われたのです。
しかしながら、社会的に苦情を訴える方がいらっしゃって、眠れないという方もいらっしゃるので、そうは言わないで、何とかやる方法はありませんかという話をしました。そうしたら、H委員が言われている提案と一致するのですが、低周波数領域の聴覚を研究している研究者は、日本にはほとんどいないのです。ですから、低周波数領域の聴覚研究のための計測器も何もないので、新たに計測器をつくって、計測方法も新たに決めて、手法も決めて、それで研究を展開していくことになると思います。それが、先生が今言われた、これからという話になるのです。
一方では、それらの研究成果を待っていられないので、何をするかという話に実はなるわけです。一つは、事業者の立場から、新たな科学的知見が無い場合にどのような対応を行うのか。このような場合には、不確実性に対する考え方があります。その不確実性の考え方には、予防原則という考え方があるわけです。というのは、何らかのものをつくると、環境に負荷がかかる。負荷がかかると何らかの
ことが発生する可能性があるのです。それに対する科学的な評価の仕方が分からない。それについてはどうするのですか。評価の数字も何もない。それをそのまま黙って放っておくのですかというわけにはいかない。そのときに、やはりデータを蓄積するということであれば、事後調査をしっかりとやっていく。データをたくさん集めていく。そのデータの集め方は、きめ細かくデータの蓄積をすることによって、その傾向を調べていくというのが、実は予防原則の基本的な考え方にあるわけです。
そういうことからすると、今この提案については、私は悪いというふうに全然思っていませんが、この1年間にこれだけのことはなかなか難しいのではないかと。県が今回のこれを、来年度あるいは再来年度に向けてやろうということであれば、この会議の中で議論をし、かつ海外のそういうようなデータ、一部カナダとアメリカからそういうような論文が出ておりますので、そういうようなものを集めながら系統的に整理をしていく。
あるいは、いま提案している中で、実験システムでできることと、フィールドでできるもの、その両方をコラボレーションしながらできる方法、そのようなことを考えて、進めていく。そうすることによって、第1回目にC委員が言われていた環境省の戦略指定研究とマッチングしていくということになりますので、それをここで、とてつもないことをやっても、環境省の3年間の疫学調査結果と違うようなデータが出てくるということになると、また解釈の仕方といいますか、できれば同じような方針、あるいは補完をしながらやれることがあるのであれば、そういう方向で進めていった方がいいのではないかというのが、私の考えです。
(座長) 素晴らしい御意見をいただきましてありがとうございました。この低周波の問題は、実は放射能とよく似た問題があります。放射能でも、例えば健康にいいという人まで出たりしています。私は、実は広島大学に15 年おりまして、原爆手帳を持った人が、僕の助教授や教授に何人かいらっしゃいました。その方は全員70 歳までに死んでいるのです。
でも、被爆をしたから、それで死んだという因果関係はないわけです。こういう問題は科学として非常に難しいのです。定年までぴんぴんされていて、定年になったら、ほとんどの方がころっと死んでいるのです。それが、因果関係があるとは、いまの科学では立証できない。
この低周波の問題も同じような問題があるのです。だから、今後どうするかは非常に大きな問題です。現に苦痛を訴えている方もいらっしゃるわけです。しかし、それをきちんと立証しないといけない。でも、それには今、方法が全く確立されていない。
高周波音も、H委員がものすごく時間がかかったと言っておられました。やっと最近になって、高周波が非常に大きな影響を持っているということが分かってきて、低周波についてもそういう方がいらっしゃれば、何か対策を打たなければいけないので、いまはC委員たちのプロジェクトが始まったわけですから、少し意識しながら、しかし時間をかけていくしかないですね。次回、もう一度H委員からの発言を促しましょう。L委員、意見をありがとうございました。
それで何よりも大事なことは、デンマークや、先ほどのK委員のお話もありましたように、低周波が出ていないというよりも住民の意識、住民の方が、風力発電があることを容認してくださる気持ちを持っていただけるかどうか。デンマークなんかは、それをうまく住民の人の生活の中で組み込んで、お金がもうかるようなシステムでやっているわけです。まず、何よりも大事なことは住民の方の気持ち、つまり意見が、こういう問題をやる場合には何よりも優先すると思いましたので、県に大変無理なお願いをして、各市町村単位でアンケートを取ってもらえないかということで、アンケートの原案をつくってもらうことをお願いしました。では、住民のアンケートにつきまして、事務局から御説明をお願いします。(以下略)
それにしても、推進派の荒川忠一東大教授に対するボコボコ振りは議事録からも感じられるのだが、現場ではもっと凄かったのでしょう。こうした方を御用学者と言うべきか、素直に風車に掛けている方と言うべきか迷うところではあります。
110828
最後まで読んでくれて有難う