低周波音問題には"使えない"公調委

風車騒音とエコキュート騒音裁定公害等調整委員会から相次いで取り下げ


 今年のように大事件が有ると多くのその他の事件はかすんでしまい忘れ去られてしまう。が、低周波音問題関係としては、既に少し古い話になるが、今年(2011年)前半に現今の低周波音被害に関わる主たる2つの事案である「風車騒音」と「エコキュート騒音」の公害等調整委員会に対する「健康被害原因裁定」申請が相次いで取り下げられた事は忘れてはいけない。
 一つは@「高崎エコキュート低周波騒音裁判」とでも今後呼ばれるかも知れない「エコキュート低周波音による健康被害原因裁定」であり、もう一つは、A「東伊豆風車騒音被害」とでもする「東伊豆の風力発電施設による健康被害原因裁定」である。

 @については既報の如く民事に移り、今後の進展が待たれるところだ。今回はAについて少し述べたい。この事案についての経過については単に、風車被害関係者だけでなく、低周波音被害関係者など直接の被害関係者だけではなく、もっと広く低周波音問題に興味を持つ人々からも、そして、さらには風力発電の代替エネルギーとしての普及を考える人たちにも強いに関心を持って注目されていたと思われるのだが、2011/02“突然”申請は取り下げられた。


風力発電で訴え取り下げ - NHK静岡県のニュース 20110208日 1851

 東伊豆町にある風力発電施設の周辺の住民が施設から出る低い周波数の音が原因で健康被害を受けたとして国の公害等調整委員会に、訴えていた問題で、今月行われる予定だった現地調査を前に、住民側は「国の測定方法では客観的な測定は期待できない」などとして訴えを取り下げました。
 この問題は、東伊豆町奈良本地区の住民11人が自宅の近くに建設された風力発電施設から出る低周波音と呼ばれる一般より低い周波数の音が原因で頭痛や嘔吐などの症状が出たとして、公害紛争を処理する国の公害等調整委員会に原因の究明を求めていたものです。これまで、公害等調整委員会では住民と風力発電施設を建設した会社の双方の主張をきく審問の手続きを進め、今月13日からは業者に委託して現地で低周波音と騒音の測定調査を行うことにしていました。

 現在、この風力発電施設は夜間は出力を制限して稼働していますが、住民側は出力の制限をしないで完全に稼働させた状態で測定することを公害等調整委員会に求めていました。
 しかし、公害等調整委員会は「風車を完全に稼働させることはほかの住民の了解が得られない」として出力を制限したまま測定を行う方針を示したため、住民側は「客観的な測定は期待できない」として訴えを取り下げることを決めたということです。
 
 これについて公害等調整委員会は「多くの専門家や専門機関の力を借りて科学的、中立的に測定しようとしていた。訴えが取り下げられ残念だ」と話しています。
 また、風力発電施設を建設した会社は「突然のことで驚いている」と話しています。


東伊豆の風力発電施設:健康被害原因裁定 住民側、申請取り下げ−−東伊豆 /静岡 毎日新聞 2011213日 地方版

 ◇「調査手法に不信」 東伊豆町奈良本の風力発電施設をめぐり住民が健康被害を訴えている問題で、住民側が、施設による被害認定を求めた公害等調整委員会(東京都千代田区)の原因裁定の申請を取り下げていたことがわかった。今月中旬に現地調査が行われる予定だったが、住民側は「調査手法に不信を抱いた」などと取り下げの理由を説明している。

 同地区の尾根沿いでは、風力発電機10基が08年1月から稼働した。住民は「風車の出す低周波音で頭痛などの健康被害があった」として、09年に裁定を申請。10年3月から調べが始まった。

 同委事務局や住民側によると、現地調査の時間について、終日稼働した場合のデータ収集を求めた住民側と、夜間を除いて調べようとした委員会側で、食い違いが生じていたという。

 住民側は「今後も被害は訴える」と話した。同委事務局は「夜間のデータがなくても因果関係を調べるには十分だったと思う」と話している。【竹地広憲】

http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20110213ddlk22040118000c


こうした事態に驚いて居るのは私だけかと思っていたが、当初はこの「周辺の住民」の広報ブログと思っていた「伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会 - Yahoo!ブログ-

でも、「無責任な公調委申請取り下げは、風車被害者への裏切り」とされている。

当該ブログは記事などで見る、所謂”住民側”そのものと思っていたのだが、こうした反応からするとどうもそうではなく、公調委に訴えたのは「周辺の住民」でなく、”一部住民”と言うことになるらしい。

今回のことに限らずこのブログはこの問題に関しその発言や記事は、多くの場合殆ど“内野的”であるが、今回のように時として全く“外野的”な雰囲気で騒いだりしていて、その正体がよく解らない。しかし、このブログ開設の主旨である第一回の書き込みを見ると以下のようにある。

★天目地区風力発電連絡協議会発足

事前に何の説明もないまま、別荘地の目と鼻の先に103メートルもの巨大風車が10基も建設される計画は全く寝耳に水の話で、この問題に対して居住者を中心に「連絡協議会」を結成することにし、大林地区は12月11日静和病院寮に11世帯が集まり、協議会結成の了承と近藤伸寿郎代表以下幹事を選出した。また、三井地区は、12月19日ペンションクノッソスに居住者が集まり、協議会結成の了承と川澄透代表以下幹事を選出し、両地区の話し合いで、12月20日、「天目地区風力発電連絡協議会」を正式に結成した。

早速、役員が手分けして居住者に参加を呼びかけ、年末年始の別荘利用者にも呼び掛けるなどの活動をし、20日現在の加入者は、百世帯を超えています。今後は全世帯の参加を目指して、三井不動産梶A椛蝸ム組の協力を得て、参加を呼び掛けます。

★役員は当面、次の方々にお願いしました。(敬称略)

【三井地区】代表・川澄 透@ 

幹事・西丸 健@ 五十右 稔幸A 須佐 衛A 富田 悟B 

      会計・坂井 智誉子@    

【大林地区】代表・近藤 伸寿郎C

        幹事・臼井 健一C 戸坂 克己D 川上 昭一郎D 亀井 昭D

        会計・松 本 明子C

   ※名前後ろの○数字は地区を表します・・・@ABは三井地区 CDEは大林四地区

【編集後記】

   協議会の動きを会員の方々に知っていただく目的で、「風力発電連絡協議会々報」を作成しました、出来るだけ、定期的に発行して行きたいと考えています。協議会の役員は素人集団で、全員このような運動は初めての経験です。不慣れのため会員各位のご期待に添えないことも多いかと思われますが、暖かく見守り下さい。

   協議会に対するご意見やご要望がありましたら、遠慮なく役員まで、お寄せ下さい。

                           (文責・庶務担当 臼井健一)

《協議会への連絡先》

 三井地区代表 川澄 透 232754 東伊豆町奈良本1495110三井147 

uekibati@bridge.ocn.ne.jp

 大林地区代表 近藤伸寿郎 222015 東伊豆町奈良本152198大林4124 

izu_kinko@ybb.ne.jp

 ※庶務担当  臼井 健一  220356 東伊豆町奈良本1495300大林465 

kenichi-us@mtd.biglobe.ne.jp


そして、2010729日の読売新聞では、 

申請者の一人、(静岡県東伊豆町熱川風車被害者の会代表)川澄透さん(79)は「裁判だと自分で因果関係を調べ、証拠として提出しなければならない。公調委なら国が専門的知見から調査してくれる」と説明する。

http://blog.livedoor.jp/qingmutong-aoki/archives/3437957.html


と言う下りを見ると、川澄さんはブログの開設者ではないかも知れないが、ブログのタイトルになっている「伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会」の地区代表である。そして、「施設による被害認定を求めた公害等調整委員会への原因裁定の申請」をした「住民側」の一人である。

であれば、ここに登場する組織は、@「記事で言う住民側」=A「伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会」=B「被害者の会」=C「川澄さん等」と思っても格別何の問題もないはずである。そして、ブログにしばしば”資料を提供した”形になっているD「三井大林熱川自治会」なるモノも=であって良いはずだなのだが、最近のブログの流れを見るとどうも、@≠A、@=B>C、そして、Dはそもそも住民総意と見るべきで@〜Bからは独立or包含した存在なのであろう。

なぜ、こうしたよく解らないような推測をするかというと、単に私がブログを見ていて単にスッキリしないと言うだけのことなのだが、即ち、

@もしブログ開設当時の様なブログなら、「被害者の会」からの「取り下げに至る説明」くらいは当然ながらそれなりに有ってもおかしくないはずで、

Aもし、ブログは「被害者の会」と関係ないなら、「無責任な公調委申請取り下げは、風車被害者への裏切り」と言う川澄さん達に対する糾弾も頷ける。だが、それは即ち、「伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会」の“発会者”を糾弾することになり、自分達で自分を糾弾するということになりとてもおかしな話になるはずだが、そうでないとすればいつの間にか「連絡協議会」の“内容”が変わってしまったのだろう。

例えば、既に川澄さんは会の代表者を辞め、川澄さん等の「被害者の会」は独立した別組織になっていて「連絡協議会」とは一線を画している場合である。漏れ聞くところでは、既に「被害者の会」は別組織のようで、そもそもが公調委への申請に至る際に「伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会」の“方針”と相容れなかったようであった。即ち、「被害者の会」は既にまだるっこしい会のやりかたに苛立ち、会を飛び出して、「裁判だと自分で因果関係を調べ、証拠として提出しなければならない。公調委なら国が専門的知見から調査してくれる」と公調委に訴えたは良いが、結局は、公調委のやり方に問題があるとして取り下げたと言うことになるのだろう。

が、その理由の一つに「公調委の現地で低周波音と騒音の測定調査測定」に際し、(「被害者の会」を除いた)“「住民側」の同意を得られなかった”と公調委は言っていると「被害者の会」は言っている、と言うことが、それは”「住民側」の「被害者の会」を除いた”人々としては、「住民にその責任を転嫁した」としてお怒りのようである。

少々”藪の中“的な話だが、これに関しては公調委に直に確かめれば直ぐに判ることなのだから、“真相”が出てきて良さそうなモノだが、ブログには一向にその気配がない。ということは、新聞が言うところの「住民側」にやはり何らかの問題があるのであろうか。


で、この事件に関し、公調委側からと住民側からとで少し見てみたい。もちろん特別なネタが有るわけはないのでほとんどフィクションの域に過ぎないので、余程暇な人しか読んでいただく必要はないし、もし関係者は読まれてもお怒りにならないようにお願いしておく。

まず、朝日の記事を整理してみると、被害住民からの声として以下の点が述べられている。

K-@「公調委の提示している測定方法では客観的結果は得られない」

K-Aその理由は「現在事業者はブレードコントロールと風速による出力調整をしている。

K-B「また夜間の制限運転を解除した定格運転での測定でなければ、正確なデータは得られない」

K-C夜間の制限運転に関しては公調委からは「フル稼働での測定はほかの住民から同意を得られなかった」と説明を受けた。

K-D「科学的根拠のない測定分析で行われることは全国の被害者救済の道が絶たれることになるため、残念だが申請を取り下げることにした」


 ここで言う「住民側」と言うのは、必ずしも被害住民の総意の「住民側」というわけではなく、また必ずしも「伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会」そのものでもないらしい。と言うのは、これに関し、「伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会 - Yahoo!ブログ」では、

「無責任な公調委申請取り下げは、風車被害者への裏切り」で、「公調委申請取り下げ」の理由を申請人 (被害者の会) は、同人が要求する測定条件で実施されないからとしているからである。

即ち、

B-@夜間の制限運転を解除し定額運転での測定は否。(K@,KB)

B-A事業者が測定時の出力の提示に同意していない。(KA)

B-B公調委が感覚閾値と参照値で測定分析しょうとしている。

B-C行政の「今後3年かけて調査解析を実施し事態の解明をする」に対し不服。

B-Dフル稼働での測定はほかの住民から同意を得られなかったと公調委が言った。(KC) 

B-Eまた同被害者の会の申請人は捏造した内容を新聞に発表し住民にその責任を転嫁した。

(Cの両者の齟齬)


ここで問題点を整理してみると。

@「現在事業者はブレードコントロールと風速による出力調整をしている。」

 「また夜間の制限運転をしている」

 こうした定格運転ではない状況の測定では正確なデータは得られない。

Aでは夜間のフル稼働状態で測定すればいいのだが、

 公調委からは「フル稼働での測定はほかの住民から同意を得られなかった」としている。

これから見る限り簡単に言えば、(被害者の会)が要求する測定は「夜間フル稼働による測定」ということになる。

しかし、それは新聞記事に依れば”(被害者の会)は公調委から「フル稼働での測定はほかの住民から同意を得られなかった」と説明を受けた”ということである。


だが、「伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会 - Yahoo!ブログ」では

「フル稼働での測定はほかの住民から同意を得られなかったと公調委が言った。(とあるが、) 

(この記事は)被害者の会の申請人は捏造した内容を新聞に発表し(申請を取り下げた理由を)住民にその責任を転嫁した、

ということであるから、即ち、「被害者の会の申請人が捏造した内容」というのはBD「住民にその責任を転嫁した」からすればそれは、公調委の「フル稼働での測定はほかの住民から同意を得られなかった」という内容に関して@公調委は住民にフル回転の同意を求めなかったのかどうかという事実、そしてA住民は本当に同意しなかったのか、という公調委の言であるが、

(被害者の会)によれば公調委は住民に同意を求めがダメだと言われた、と(被害者の会)は言っている。だが、住民はそうした事実は無いとしているのであろう。

住民側としては、申請取り下げを正当化するため、被害者の会の公調委の説明が捏造であると言いたいのであろうか。こんなことは、公調委が直に発言すれば済むことなのだが…。

その後のブログ掲載の記事を見ていると運営者本体は確かにどうみても直接の被害者ではないようで、

「今回の取り下げについて、被害者の会サポーター始め、住民、自治会、当協議会、公調委、東伊豆町、事業者、・・・何れも困惑や驚きを示している。」と言うのは“今回申請を取り下げた人たちを除く”「当協議会」なのであろう。

しかし、今回取り下げた人たちは上記の第一回書き込みを見る限り「当協議会」の発起当時の仲間であったが、何時の間にか「当協議会」の仲間ではなくなってしまったのであろう。それを如実に語っているのは以下の書き込みであろう。

http://blogs.yahoo.co.jp/izuatagawa2007/64171594.html


住民の皆様へ、

この報告から思うに、自治会や町のやっている三者会議とやらをあてにしていても結論は出ませんぜ。結論は草葉の陰から聞く事になるね。それでいい人はおとなしくしてたら良いけど、そおでない人は何とかしたらどうかね。言っておくけど、間違っても被害者の会やあれに拘った者に声を掛けてはダメ。2011/3/28() 午前 10:14 [ ガミガミオヤジ ]

 

と言うことで、「被害者の会やあれに拘った者」というのが、今回の申請当事者なのであろう。確かにガミガミオヤジさんではないが、延々と烏合の衆的にCEFを罵倒していても“結論は出ませんぜ”とは私も思う。何せ彼ら事業者が聞く耳を持たないのは明白のようだから。しかし、“何とかするに”、“被害者の会やあれに拘った者に声を掛けてはダメ”では、他に手だては有るのであろうか。


 もちろん、他所様の内情をさばくる必要はないのだが、低周波音問題の根本に触れる可能性が十分にある申請だったので思わずさばくってしまってゴメン。



 さて、ここからが本来の私のコメントでダブルかも知れないが…。

どうした経緯でこうなったかは知るよしもないが、公害等調整委員会の「出力を制限したまま測定を行う方針」では住民側は「客観的な測定は期待できない」としたのだが、確かにその状態では被害が出た当時の原状は再現出来ないわけで、測定の結果ではアナタ達が言っているような結果にはならないなどと結論されてしまっては確かにあまりに「非科学的」である。

 だが、今回の調査はあくまで第一歩の参考データみたいなモノで、現在、一部の風車が停止している状態で被害が少なくなっているとすれば、それは逆に「このレベルまで騒音を下げれば問題無い」ということになるである。今回のたった1回の測定で全てが決まるわけでは無かろう。それとも申請者に「そう思わせる」ような何かが公害等調整委員会にはあったのであろうか。
 
 さらに、「風車を完全に稼働させることはほかの住民の了解が得られない」と言うことだが、そもそもの原因を探るためには、一度で良いから短時間でも以前の風車が"全く稼働していない状態から、風車建設後の「全機完全稼働」と言う状況"の実現は是非とも一度は必要であり、それは被害者であれば「了解」せざるを得ないはずのモノであろう。それがCEFの都合というならまだ解るが、公害等調整委員会が言う「ほかの住民の了解が得られない」とは一体全体どう言った事情であろうか。何か、被害者間、住民間の認識に不一致が有るのであろうか。
 
 さらに、ここで言うほかの住民とは一体誰を指すのであろうか? ほかの住民と言うのが風車の影響が全然無い、無被害者なら風車の稼働音に影響されない人々であるのだから、稼働しようがしまいがどこ吹く風で全く関係ないのであるから、今更グジャグジャ言う必要はないのであるし、それが、それなりに影響が有り、例え短時間でも完全に稼働させたらまた苦しむ人々であるなら、そして、現状がこれで良いとする様な状態であるなら、それはそれで結構なのだが、現在の状態CEFにより完全に維持される保証の担保は全く無くはずで、今回の様に、訴えが取り下げられれば、CEFは無罪放免となり、免天下晴れて何れ全出力稼働をするような状態になる可能性は大きいはずである。ほかの住民の意図が理解できない。この伊豆の集まり全く不思議としか言いようがない。

 風車騒音被害がそもそも存在するのか、はたまたその原因は風車の騒音にあるのかと言った根本原因を究明しなくては何のための訴えであろうか。もちろん“訴えの仕方が異なる”という被害者間の単なる仲間割れとすれば、被害者数が多くなった時のこうした問題にはありがちのことのようで、それは仕方有るまいことだが、低周波音被害の真相を少しでも解明して欲しいと願う者のとしては何とも非常に残念なことである。

 それにしてもブログを見る限り「ここは既にそれなりの測定データの蓄積」をお持ちなのだから、何はともあれひとまずは測定させて、そのデータと比較することで今回の測定をどう評価するかを考えても良かったのでは無かろうか。それを元にさらに再測定をさせても良いし、疫学的調査を始めとするその他の調査も出来たのではなかろうか。
 
 そして、公害等調整委員会が言うところの「多くの専門家や専門機関」というのが具体的にどう言った顔ぶれか知るよしもないが、公調委の「専門委員が任命された近年の公害紛争事件」などという表を見ると、専門家は一人や二人ではなく、複数人動員するのであろう。さらには、現在、風車による低周波音騒音被害の根本原因の究明は環境省自体もしているはずで、その究明者達はここで言う「多くの専門家や専門機関」とダブル部分もあり、一応、今日の日本に於いては他に選択肢のない仕方ない科学的、中立的という事になるのではなかろうか。

 もちろん、基本的に、国内に於いては、他に比較すべきデータはまだまだ蓄積されていないはずなのだから、素直に、「モルモットのあなた達のデータが欲しい」と言うべきであった。そして、全くデータだが無いので、既に被害が出ている所をこれから全て測定調査し、その共通点を解明し、被害のないところのデータと比較対照し、環境省の測定、分析結果と擦り合わせ、原因裁定を出すという様な形にすれば良く、実際には環境省委託による各地での風車騒音の測定も進んでいると聞く。

問題はそれを待たず今回の測定だけで、「風車と健康被害には因果関係は認められない」とする、「現実に被害者が存在する」事実を否定するような裁定が出された場合の危惧が為されたのかも知れないが、それは、今回の大震災により“国策に基づく科学性”が全く信用を無くした今、有り得ないと思いたい。しかしこれはそれ以前の話であり、蓋し有り得た話かも知れない。

 いずれにしても取り下げに至った詳細は解らないので何とも言えないが、関係者全員が、今回の測定は、あくまで”one of the DATAs” と考えれば良かったのではなかろうか。公害等調整委員会ではないが、「訴えが取り下げられ残念だ」と私も別の意味で思う。


両事案の間に共通して関わってみえる支援関係者もみえるであろうが、この両当事者には低周波音被害としての横の繋がりは無いようだ。その両者がほぼ似たような時期に、尚かつ、低周波音問題の現今最重要の事案が「公害等調整委員会による現場調査」という大きく進展する可能性のある直前に取り下げられたと言うことは、「第一義的被害者」としては、「公害等調整委員会は“使えん”」と言うことなのではなかろうか。「まずはひとまず公害等」と思っていた私も反省すべきだが、公害等調整委員会は大いに留意・検討すべきであろう。

何故に今更この事件を俎上に載せたかと言えば、本来ならばこうした事件が起きる前に催されなければならなかったはずの「伊豆半島の風力発電に関する有識者会議」がこの後から開催されており、其処には低周波音問題に関し中々に興味深い発言が為されているからである。

110209,110617,110820

(続く)伊豆半島の風力発電に関する有識者会議低周波音関係


最後まで読んでくれて有難う


 公調委は本当に使えない。低周波音被害者が公調委から取り下げたのは正しい選択だった。遅ればせながらも次の事例を見ても公害等調整委員会が公害被害者を容易には救ってくれるようなことは無さそうだ→諫早湾干拓工事と有明海漁業被害に係わる原因裁定

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