愛知・田原の風力発電騒音訴訟 1/7


 今般のお話をより詳しく掲載するためにこれに関した話をリニューアルし、まとめることにした。でまずはこれに先立つ昨年(2013年)8月「風車騒音の受忍限度に初の司法判断求めて」風車運転停止の「仮処分申請」をしたが、乙側の”圧倒的書面の厚さ”で負けたわけでは無かろうが、弁護士によれば”異常なまでの早さ”で、名古屋地裁豊橋支部は同年10月、騒音について「受忍限度を超えると評価できない」などとして、申請を却下した、と言うところまでは終わっていることにする。
 
 で、今回の訴訟となるのだが、裁判官側も被告側も、「そもそも前回の判決のどこが不服なのか。それを覆すような新しい言い分とか証拠は何なのだ?」と言うのがまずは二者の言い分である。上空から田原市組原風力発電所
 実のところ今回の訴訟における甲の「作文」は当然のことであるが、基本的には仮差し止めとほとんど違わない。と言うのもこれが全然違っていては、それはそれでいけない訳らしく、原告側としては前回の判決に不服な訳で、もう一回判断がほしい訳で、すなわち”控訴”の気分なのだが、どうも、裁判所側にしてみれば、既に前回の仮訴訟が1回目みたいなモノで、前回までの内容については既に結論が出ている訳で、”今回の新しい部分はどこなの?と言うことらしい。そもそも前回をよく知っていれば、目次だけでどの部分が新しいかは解るはずで、敢えて言えば、新しいところが無いか、この問題の実質的内容が、こうした問題に素人と言うより、初めての人にサラサラと解るとは、私にはとても思えないのではあるが。

 で、「別の人」にもう一度よく読んで貰いたい言うところが本音の本音であろう。結局、前回期日に間に合わなかった部分などを新証拠など的に付け加えたらしいが、この点に限れば、まー、これはそもそも提出期限が決めてあるのなら、まずはそれは裁判の”お作法”で、素人的には必要以上に形式にこだわるであろうこの世界では特に非常にまずかろう。

 特に民事事件は、事件モノの法廷ドラマのように最後の最後に新証拠が間に合い、判決がひっく返る等と言う劇的な事態があるとは、素人的にも思えないので、やはり弁護士の事前の「作文」勝負と聞いているとおりであろう。であれば、そもそもからして、仕事とは言え、おもしろくもない上によくわからない内容の分厚い作文を読むわけだから、提出期限に間に合わないくらいではなく、それこそ裁判官の”心証”を大いに害した感は否めないとは思うのだが。

 で、仕切り直し的に、今般の愛知・田原の風力発電騒音訴訟となるのだが、この訴訟は、単なる一地方の一風車による、一個人の被害と見なされるべきではなく、この背後には、「環境省大気生活環境室によると、全国の風力発電施設は、03年度末に741基だったが、12年度末は1916基に増えた。10年度に実施された全国調査では389カ所のうち、苦情や要望書が出された施設」64カ所が控えている可能性がある訳で、「風力発電に対する単独の環境基準はなく、対応は設置先の自治体に任されている」(毎日新聞の先行取材 2014年02月22日 07時12分)ため、「風車特有の基準が必要で、この裁判で社会全体の意識が高まれば」と、そして、甲がこれまでにも何度も交渉している環境省の認識をも促す意味合いをも持った訴訟でなのではあるまいか。続く

 もちろん、当然ながら、乙側にとっても単に一つの風車の問題で無く、その結果によっては、「苦情や要望書が出された施設が64カ所」の今後の動向にも影響する可能性が有り、被告並みに、いやむしろそれ以上にこの事案に対して負けてはならないと言う認識が高いのではと想像させるのは、被告側弁護団の牛刀割鶏的仕儀ではなろうか。ともあれ、被告側としては、何が何でもひとまずは風車に関する”苦情”は完膚なきまでに潰しておかなくてはならない事案のはずだ。


 と言うことで、普通の報道では最初だけで、最後が報道されるのは余程の大事件ででも無い限り無い場合がほとんどだ。特に「近隣関係で刃傷」に及んだような場合には是非とも、その動機や結末までも詳しく知りたいところであるが、その後が報道されることは無い。で、当サイトでは湖に事件の経過をを管理人が支障無いと判断した、可能な限り、裁判の経過をネットで上に掲載していきたい。
 
 なお、太字、斜体、下線等、※注は管理人によるもので正式文書はPDF文書でありそうしたモノは無い。



1−1.(甲)意見陳述書

平成 1 9 年、自宅のすぐ近くに立ったこの風車は、建設前の被告の説明と は 全く違い、環境への配慮、など微塵もない、音源が100db を超え、更に、純音と いう特殊な音が上乗せされた、粗悪な風車でした。

私は、何度も風車を止めて欲しい と被告や行政に言いましたが 、今でも風車 は動き続けています。家を2重サ ッシにしましたが、騒音を我慢できるのは、家の10 部屋中一番奥の 2 部屋ほ どだけです。
こうして、私たち家族は 、仕方なく家を離れ、夜間は避難生活を送るようになりました。避難生活は 、もう 7 年を越えています 。

私は、家の近くで畑を耕す農家です。夜は避難できても 、畑の場所は変えら れません。結局、移動の手間や作業時間の制約から、それまでの葉タバコ耕作を辞めて、収入は不安定でも 、時間的に余裕のある作物に変更をしました。我慢が出来なければ離れればいいと言われでも 、補償もなしに自宅や畑を移転するなんて、到底無理です。

風車近く に畑を持つ人の中には、「風車の近くの畑ではう るさいが、家に帰 れば聞こえないので我慢できる 。」 という人や、「風車の音で作物 (スイカ) の良否が判別できず 、集荷先を変えた 。」 という人、「風車近くのハウスはう るさくて我慢できないので 、離れた所に移転させた 。」 という人もいます。 みんな、被告ともめたり、裁判沙汰を嫌 っているだけで、本当は、私たち家族以外にも問題は起きているのです

この風車は、発電状態になるとセスナ機みたいな音がしてとにかく うるさく、 到底我慢できません。その音が、測定値でいう160Hz 付近の音なのか 、私は 専門家ではないのでわかり ません。

しかし、少なく とも、その160Hz 付近の単音 (純音) は、測定結果では、屋外 ・屋内とも、各種許容値を上回るな ど、客観的にみて騒音なのは明らかで す。「大河さんのところの風車は純音の出る風車だ」 と、環境省(管理人注※1)の担当者クワパラ氏にも 、以前、電話で、はっきりと説明されました。

一見、平均 ・全体の数値だと、大したものではな いように見えるが、周波数ごとの許容値は大きく超える。これがこの風車の騒音の特徴です。

被告は 、都合の悪いデ タを、信ぴ ょう性が無いなど と言って、無視します。 このほか、ちゃんと計測もせずに 、暗騒音が大きいなどと主張したり 、(自分 たちには) 「 ( 本件風車の音は) 聞こえにくい」などと言ってきたこともあり ました。

私が騒音で行政に苦情を言う と、行政には報告をするのに、直接私に対しては、ほとんど何 も教えてくれません

被告自身 、建設前は定格出力時の最大値を用いて環境基準を超えないと予測 したのに、稼働後にそれ以上の 測定結果が出ると、平均値を主張し出し、こち らが平均風速で議論しよ うとしたら、平均風速は平均値ではないと言い出す始 末です。ここまで自分に都合の良い解釈を主張する のが企業でし ょうか?

風の強い季節は、ずっと基準を超える騒音が出続けても構わないのでし ょう か。

これまで話し合いをずっと続けてきましたが、その場しのぎの対応しかし な い相手との交渉はもはや無理です 。私は、もうほかに頼るすべもなく、最後の 望みを、この裁判にかけることにしました。

裁判で、是非とも公正な判断をして頂きたいと思います 。

以上


管理人注※1

 環境省報道発表資料 風力発電施設から発生する騒音・低周波音の調査結果(平成21年度)について(お知らせ) 平成22年3月29日

 風力発電施設に関して低周波音の苦情が寄せられていることから、環境省は、愛知県豊橋市・田原市、愛媛県伊方町において騒音・低周波音の実態把握のための調査を行いました。測定結果を解析した結果は以下のとおりです。

豊橋市の苦情者宅内(風力発電設備[1500kW]からの距離:約680m)では、風力発電設備の稼働・停止による明確な騒音・低周波音の変化は確認できず、また、風力発電設備の近傍測定点で観測された31.5Hzや160〜200Hzに特徴のある騒音・低周波音は測定されませんでした。
田原市の苦情者宅内(風力発電設備[1500kW]からの距離:約350m)では、稼働・停止による騒音・低周波音の変化が測定されるとともに、風力発電設備の近傍測定点で観測された160〜200Hzに特徴のある騒音が測定されました。
伊方町の苦情者宅内(風力発電設備[1000kW]からの距離:約210m、240m)では、稼働・停止による騒音・低周波音の変化が測定されるとともに、風力発電設備の近傍測定点で観測された31.5Hzや160〜200Hzに特徴のある騒音・低周波音が測定されました。

 環境省では、引き続き関連する調査・解析を実施し、実態の解明に努めていくこととしています。


1−2.(甲)訴状

請求の原因
【目次】
1. 原告
2. 被告及び本件風車
3. 本件の経緯
4. 本件風車騒音に係る騒音測定
5. 本件風車騒音の測定結果に対する評価
6. 本件風車は特異な純音性騒音を発する欠陥品である
7. 受忍限度
8. 損害
9. まとめ


 大河さんの代理人弁護士は、「日によって風量も違う場合もあり、風車騒音を平均化すると数値は小さくなる。単純に騒音の環境基準にあてはめるのは適切ではない」と指摘。その上で、前回の申し立て却下を受け、風車騒音の特徴である「振幅変調音」(風車の羽根が回転することで発生する音)と「純音性騒音」(特定の周波数のみの音)などを主張していくという。
 提訴に対し、ミツウロコグリーンエネルギーの担当者は「初めて提訴を聞いた。事実関係を確認したい」とコメントした。(東愛知 平成26年3月1日 2014/03/01

 これに対する被告側答弁は→


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