愛知・田原の風力発電騒音訴訟 4/7


4.(甲)準備書面(2014/6/11)上空から田原市組原風力発電所

第 1 騒音公害の考え方と被告及び仮処分決定の考え方の誤り

1. 音源である風車に対する認識の欠如
1) 本件風車の概要
2) 騒音は騒音規制法上,特定工場等との騒音との比較

2. 本件原告居住地域の地域性に対する認識の誤り
1) 原告宅周辺は専業農家が多く居住する田園地帯である
2) 田原市風力発電施設等の立地建設に関するガイドラインは考慮されるべきである

3. 騒音は音圧及び諸要素を考慮して決せられるべきである
1) 騒音の要素
2) 本件騒音の特性が考慮されるべきである
3) 環境基準値を超えている状態があれば日常生活被害 が生じうる

4. 騒音のめやすはめやすでしかなく科学的根拠はない

第 2 報告書目標値 (35db) は科学的に裏付けされた値である

1. 仮処分決定についての問題点
1) 仮処分決定の内容
2) 受忍限度の判断基準は社会的コンセンサスを得られているか否かで決められるものではない
3) 報告書目標値は騒音の専門家による研究の集積の結果である

2. 日本における風車騒音問題の経過の概要(甲12,23 頁以下参照)
1) 我が国における風力発電施設の建設とその規制の経緯
2) 環境影響評価法改正の経緯(甲12. 25 頁参照)

3. 環境省における風車騒音問題に対する取り組み(甲12,26 頁以下参照)
1) これまでの環境省による風車調査
2) 環境省戦略指定研究は騒音の専門家の英知を結集して行われた国家プロジ ェクトである
3) 研究の概要
4) 研究体制
5) 研究の科学的意義

4. 環境省戦略指定研究における議論及び成果に基づいて報告書目標値が導き出されたこと
1) 環境省戦略指定研究研究委員が「平成24 年度?風力発電施設の騒音?低 周波音に関する検討調査業務」の検討会の中心となっていること
2) 平成 24 年度風力発電施設の騒音?低周波音に関する検討調査業務報告書(甲12) の随所で環境省戦略指定研究で得られた知見が引用されている
3) 小括

5 報告書目標値の設定の検討過程は科学的に裏付けされている
1) 報告書目標値の設定の検討過程
2) WHO ガイドラインが基準となっている
3) 風車騒音は建物遮断性能の程度は低い
4) アノイアンスに対する考慮

6. 結論

第 3 純音性騒音を考慮するべきである

1. 純音性騒音についての原告の主張,仮処分決定の内容など

1) 原告の主張
2) 純音性騒音に関する被告の認否や仮処分における裁判所の判断
3) まとめ,仮処分決定で判断されていない原告の主張

2. 本件風車に存在する純音性騒音についての検討
1) 本件風車が特異な純音性騒音を発する欠陥品であること等
2) 仮処分未提出証拠による補足説明

3. 純音性騒音のもつ特殊性を受忍限度判断の要素として考慮すべきこと
1) 純音性騒音は「うるさい」こと
2) JIS などでも純音補正が認められている
3) 甲 12 においても風車における純音性騒音を問題にしている
4) 環境基準だけでは騒音を判断することはできない
5) 本件風車の騒音には純音性騒音が含まれ,受忍限度を超えること

4. 本件純音性騒音は低音領域の大きなアノイアンスがあること
1) 本件では 160Hz 前後の卓越周波数があること
2) 低音の卓越周波数の特徴
3) 低音領域の騒音は透過性が高い上,マスキング効果が低い
4) 低音領域の騒音音源に対する対策の欠如

5. 純音性騒音に関する不誠実な対応(甲49号証 1)
1) 被告の本件風車騒音に対する対応の経緯
2) 被告の純音性騒音に対するこれまでの対策等
3) 小括

6. 騒音測定値を検討する際に, 5db の騒音補正を加えるべきこと
1) 純音性騒音の騒音補正に関する規格
2) JlS 規格による純音補正
3) 国際規格 (1 S 0規格) IS01996 2 : 2007 における定義 (甲29)
4) 本件風車騒音は(国内?国際)規格上純音性騒音が含まれること
5) 本件において求められる補正値

第4 等価騒音レベルの問題について

1. 本件騒音のレベルに関する仮処分決定の誤り

2. 東海ジオテック社による風力発電装置騒音調査報告書
(甲5)
1) 平成 19 年 2 月 7 日の調査
2) 平成 19 年 2 月 16 日から 17 日の調査
3) 平成 19 年 2 月 12 日の周波数分析
4) まとめ

3. 愛知県環境調査センターによる報告書(甲7)
1) 平成 19 年 12 月 13 日昼間
2) 平成 19 年 12 月 13 日から 14 日の夜間にかけて

4. 騒音測定結果のまとめ
1) 本件各測定結果のまとめ
2) 連続測定と風速について

5. 環境基準で判断することの問題点と本件風車の違法性
1) 等価騒音レベルだけで受忍限度を判断できない
本件では環境基準を超える騒音が生じていたのであるが, うるささの受忍限度は等価騒音レベルのみで判断することはできない 。等価騒音レベルだけ では変動及び瞬時的に変化する騒音,発生時間が限られている騒音を評価することはできない。また,評価時間の設定,時間区分の重み付けも十分吟味 されなければ等価騒音レベルの判断はかえって騒音の実態を隠してしまう。環境基準の場合は実際には 2 区分しかなく具体性事案に即して判断する基準としては不都合である。また,卓越純音成分が含まれる場合も等価騒音レベルでは評価できない。

2) しかし,環境基準を超えている事実は軽視するべきではない
ア 本件が環境基準を超える数値が出ていることは軽視するべきではない 特に連続測定の結果,室外で47dbから 51db,室内でも 37dbから 41dbあることは受忍限度を超える要素として重視するべきである 。
イ 環境基準の法的意義 環境法の歴史的経緯からすれば当初公害原因を個別に規制する排出規制
から始まったものの,多様な原因が重なった結果生 じる公害は排出のみを 規制するのでは防止できないと認識された 。そこで,一定範囲の区域で求 められる環境のめやすとして環境基準制度が設けられた 。騒音についても 同様であり,一定地域に会話妨害を目安として昼間 45db ,睡眠妨害を目 安として夜間 35db を実現するべく基準がもうけられた 。
ウ 環境基準値は受忍限度の最低限の基準である
一方,環境基準は純粋な科学的な基準でなく,経済事情などが考慮、され て政策的に決められていく基準である。従って,人間の心理的生理的健康 に害を与える可能性があっても環境基準としては規制しない例も存在する。環境基準は受忍限度の最低限の基準であり,それを下回った場合であっても受忍限度を超える等価騒音レベルは存在すると考えなければならない。

3) 本件は環境基準を超える違法な風車である
ともかく,一定地域の騒音のめやすである以上,継続時間を問わず超えればその音は生活妨害をもたらす騒音であると考える べ きである。そして,そ れが受忍限度を超えるものといえるかどうかは,当該騒音 の継続時間,発生 時間が考慮、されるべきなのである。上記のように,本件では少なくとも風速7m/s 以上の状態で室外で 47dbから 51db,室内でも37dbから 41db あり、それが本件地域の代表的な風速であること,数時間,時には8時間以上も続くこと,夜間にも発生し,被告には夜間に限って制御するということがおこなわれていないことを考えれば,環境基準を超える事実だ けでも受忍限度を超 えると言うべきである。ま して,本件では純音性の騒音,風卓には宿命的な 騒音である振幅変調音などがあることを考慮すれば,本件風車の操業は受忍 限度を超えることは明らかであるというべきである 。

以上


 と、結局、甲弁護士としては「そこまでは言う必要は無い」というようなことまでをくどくどしいまでに言う面倒な準備書面ができあがった様で結構良いところまで言っているような気がするのだが。

 それに対し乙側から前回に比べれば小ぶりな反論がなされた

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